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必読! ヘリ事故のタイミングで掲載された沖縄がテーマのマンガ作品が話題に… この痛みこそ安倍首相は知るべき!

比嘉慂が「ウーマク」で炙り出す、沖縄市民の米軍基地に対する忸怩たる思い

 ある日突然金網で囲われ、それ以降沖縄の住民は入ることができなくなった基地内の原野にはたくさんの遺骨が埋もれている。朝鮮戦争で基地が増強されて調査不能になってしまう前になんとか仲間たちの骨を拾い上げたいというのが天願の思いだった。

 果たし合いに際し、強姦の犯人以上に腕っ節の強い男たちを用意した米軍側だが、天願はまたしても全員を返り討ちにする。そうして米軍敷地内での遺骨収集作業が実現するが、親善を図るために協力参加した米兵の一人が遺骨を拾い集めるうち、戦争で亡くなった沖縄の人たちの幽霊を見て錯乱。その結果、MPから作業中止の命令がくだされてしまう。

 またとない遺骨収集の機会を奪われた天願と運天は帰り道、肩を落としながらこのように会話する。そこで語られる「この後味の悪さ、悔しさは米軍基地がある限り繰り返すのだろうな」という言葉は、2017年のいまをも想起せずにはいられない示唆的な言葉である。

運天「遺骨を見て錯乱したようだ。朝鮮へ派遣される兵士の一人らしい。」
天願「やはり、(引用者注:幽霊を)見たのですね。」
運天「そう叫んでいたね。私も見たが。」
天願「はい、ぼくも。もう無理でしょうね。ここでの作業は。」
運天「見せたくないだろう。戦争の傷は。特に戦場に行く兵士にはね。それに、本格的な基礎整備の工事が入るらしい。シャットアウトだ。この後味の悪さ、悔しさは米軍基地がある限り繰り返すのだろうな。」

「ウーマク」という漫画は、戦争によって奪われた沖縄市民の命に対する思いや、駐留し続けて沖縄に暮らす人々をさらに苦しめ続ける沖縄米軍基地問題に対し真正面から向き合った作品である。

 この「ウーマク」が掲載された「ビッグコミックオリジナル増刊」17年11月増刊号が発売されたのは今月12日であり、本稿冒頭にあげたヘリコプター事故とタイミングがかぶったのは完全に偶然だが、しかし、編集部側にはもしかしたら衆議院選挙に際して沖縄が直面する基地問題を改めて読者に投げかけたいという思いはあったのかもしれない。

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