麻生太郎オフィシャルサイトより
麻生太郎副総理兼財務相の「武装難民は射殺」発言が大きな波紋を広げている。報道によれば、麻生副総理は23日、宇都宮市内での講演で、〈朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せる可能性に触れたうえで、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と語った〉(朝日新聞より)という。朝日以外の報道でも発言内容はほぼ同様だ。控えめに言って、狂っているとしか思えない暴言である。
マスコミ報道では、〈北朝鮮情勢の緊迫化を受け、難民対応についての議論を喚起した発言〉(時事通信)、〈問題提起した〉(共同通信)、〈難民が武装していた場合に国民の安全を確保する重要性を強調した発言〉(読売新聞)、などとソフトに書かれているが、難民の大量流入が現実的にありうる状況下で、副総理が「射殺」を選択肢として示すのは、明らかに発想が異常としか言いようがない。国際的にも強く非難されて然るべきだ。
ところが、安倍政権の応援団であるネット右翼たちは、麻生副総理の「武装難民は射殺」発言を擁護・絶賛。Twitterで口々にこんなことがなりたてている。
〈武装難民ってただの侵略者だろ? 射殺で問題なくね?〉
〈射殺しなかったら警察がやられるの!! 麻生さんは正論だよ〉
〈武装のままなら射殺されても当然であろう。発言に問題ない〉
〈これは正しい。武装難民が来ても射殺反対という人は、目の前に立ってどうにかしたらいい。殺らなきゃ殺られる〉
〈武装難民なら射殺でOK。〉
産経も「麻生太郎氏の「武装難民来たら射殺するのか」発言に左派団体や識者ら猛反発」などと、麻生発言批判のほうを揶揄し麻生を擁護する記事を配信している。
何をほざいているのか。確認しておくが、麻生副総理の発言は、朝鮮半島情勢の緊迫化のなかにおいて、戦争によって北朝鮮で発生する大勢の難民を念頭に置き、そのなかに「武装難民がいるかもしれない」という妄想をくわえたうえで、「射殺ですか」と言い放っているのである。主語は難民全体であって、これは難民問題をどうするのかという話だ。
加えて言えば、麻生副総理の「武装難民は射殺」発言は、現実的に難民の生命を脅かす恫喝として機能するだろう。
本サイトは、対話による平和的解決を否定してトランプ米大統領に戦争をけしかけるような発言を連発している安倍政権を一貫して強く批判してきた。だが、仮にこのまま日米両政府の挑発によって戦争が勃発すれば、現実問題として、難民化した北朝鮮の市民らを近隣諸国が協力して受け入れる態勢を整える必要がある。それは人道的な観点から議論の余地なく当然の行為だ。
しかし、そうした現実的なシミュレーションのなかで、日本の副総理は、あろうことか「射殺」などという選択肢を示してしまったのである。これがどれだけ論外なことか、麻生副総理をかばう連中はわかっているのだろうか。