小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

横田一「ニッポン抑圧と腐敗の現場」21

再稼働阻止の泉田前知事はなぜ自民から出馬? 安倍政権は原発攻撃対策もしないまま再稼働を押し進めているのに

北朝鮮危機を煽る一方、原発攻撃対策ゼロなのに柏崎刈羽原発再稼働へ! 再稼働阻止の泉田氏が自民出馬の思惑とはの画像1
10日の泉田前知事の半蔵門での会合(撮影 横田一)

「北朝鮮の脅威増大でも原発攻撃リスクを軽視、再稼働に邁進する安倍政権は国民の命と安全を脅かす“国賊”に等しい」と実感させてくれたのが、泉田裕彦・前新潟県知事だ。東京電力と対峙して「柏崎刈羽原発」再稼働阻止の“防波堤役”を務めた泉田氏だが、同時に「原発テロやミサイル攻撃への対応が不十分」という警告を発し続け、政府に勧告する権限のある「原子力規制委員会」(田中俊一委員長)の職務怠慢ぶりを厳しく批判、原子力防災(原発事故時の対応)の欠陥を浮き彫りにしてきたことでも知られる。

 しかし原発推進の安倍政権と正反対の立場のような泉田氏が9月8日、新潟五区補選(10月22日投開票)に自民党からの立候補する意向を表明した。すると、「変節だ」「がっかりした」「なぜ野党から出ないのか」といった批判的な声が噴出。翌9日には経産省時代の先輩後輩の古賀茂明氏が千葉市での講演で「ペテン師?」と指摘しながら、県知事選の時からの二階幹事長との密約説を披露した。

 脱原発派の疑問の声が一気に噴出し始めた10日、渦中の泉田氏を囲む会合(講演会と懇談会の二部制)が都内のイタリアンレストランで開かれた。新潟のテレビ局カメラマンが店の入口に張り込み続ける中、予定時間よりも少し遅れて泉田氏が登場。約50名の参加者を前に知事時代(2005年10月〜17年10月)の経験が凝縮された“自論”を訴え始めた。

 それは、自民党からの立候補を了承したとは思えないほど、安倍政権の原発政策とは大きく食い違うものだった。

泉田氏「いま米朝関係が緊迫する中で、「原発にミサイルが当たったらどうするの」とずいぶん前から私個人が言っているだけではなくて、知事会要望としてまとめたのです」(15年8月24日に全国知事会・防災委員長として泉田氏は田中俊一・原子力規制委員長に要望書を手渡した。この頃から「住民の避難対策・テロ対策が不十分なままの再稼働はありえない」と主張している・筆者注)

 さらに泉田氏はこう続けている。

「規制委員会が何と言っているのか、ご存知ですか。「所管でない」と言うのです。ふざけるなということです。「航空機テロも含めてテロとかミサイル着弾は規制の範囲を超える。国民保護法でやってくれ」と規制委員会は言っている。国民保護法で動くのは自衛隊なのですけれども、「(柏崎刈羽原発の周辺住民の)44万人を避難させて下さい」と言ったら、自衛隊は「出来ません」という回答をもらっています。従って誰も(原子力防災に)責任を負っていない状態なのです。外野からいくら言っても変わらない。知事会から(原子力規制委員会の田中俊一委員長に)言っても変わらない。野党で指摘しても変わらない。マスコミで聞いても変わらない。むしろ蓋をされるということになると、どうやってやるのと(略)。何もやらずに「安全だ」「安全だ」というのはおかしいだろうということは強く言いたい」

 つまり、泉田氏は「外野からいくら言っても変わらない」原発防災対策について「与党から変える」との思いから、自民党からの出馬要請を受けたというのだ。しかし、今の安倍自民党に入って変えられるのだろうか。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する