肉体とともに変節した松本、ブルゾンのネタは本質をついたか
ブルゾンちえみにはそんなつもりはなかったかもしれないが、このネタ、意外と本質を突く皮肉かもしれない。とういうのも、この松本の変化って、実は多くの人が感じていることだからだ。
たとえば、松本の恩人であるプロデューサーの田中文夫氏も同じようなことを指摘していた。田中氏は80年代後半、まだ東京進出前のダウンタウンが初めてテレビでメインを張り、関西で大人気を博した生放送バラエティ『4時ですよーだ』(毎日放送)のプロデューサー。つまり、まだ駆け出しのダウンタウンを抜擢し、その後の大ブレイクに導いたいわば育ての親のような人物である。本サイトでも既報のとおり、「週刊金曜日」7月21日号に松本の変節を憂う手記を寄せていたが、そのなかで田中氏はこんなふうに綴っている。
〈ある時ハッと気がついたら松ちゃんが別人に変わっていました。金髪で筋肉ムキムキのマッチョマンになっていました。あれぇ、何かおかしいなぁ、見かけも変わったけど考え方も人柄も変わってしまったのではないだろうか〉
後輩芸人たちからも「松本さん、昔言うてはったことと反対のことばっかりしてはるんですけど」という話も聞くようになったという。田中氏は続けてこのように綴っている。
〈確かに松ちゃんは昔から「芸人が体を鍛えてどないするねん」とか「映画は撮らない」とか「できちゃった婚はしない」とかいろんなことを言っていましたが、今は全部その反対です。〉
ただ田中氏自身は、松本がたったひとつ「お笑いへの決意」さえ捨てなければ、体を鍛えても、映画を撮っても、家族をもっても、それでも別にかまわないと思っていたという。しかし、そのたったひとつのことも失われてしまう。
〈それが、それが、今は何がどうなっているのですか?『ワイドナショー』って何ですかそれ。「コメンテーター」って何のつもりですか。いったい何事が起こったのですか。天才のやることとはどうしても思えない〉
田中氏がとくにショックを受けたのは、「2025大阪万博誘致アンバサダー」就任と、共謀罪に賛成し「多少の冤罪はしょうがない」と発言したことだった。大阪万博大使就任のニュースに〈寒イボが出るほどショックを受けました。我らのダウンタウンをどうするつもりなんや、と思わず叫びました。〉とその思いを吐露し、共謀罪賛成については、こう皮肉っている。
〈うーそーだーろーー! 一体何がどうなってしまったのですか? ほんと、悪い夢を見ているようです。〉