ヤフコメは今後ヘイトにどう対処する
いずれにせよ、あの読むに堪えなかったヤフコメが、いま、政治権力の腐敗や失政にまともに反応、その声が可視化されるよう“正常化”されつつあるということ自体は、喜ばしいと言っていいだろう。
ただし、まだまだ課題は山積みだ。たとえばヘイトの問題だ。
前述の木村教授らによる調査によれば、ヤフコメ内の言葉の出現頻度上位3つは「日本」「韓国」「中国」で、「日本人」「韓国人」「中国人」もトップ10に入る。そして、韓国と中国関連の言葉を含んだコメントが全体の25%を占め、その多くに「嫌韓」「嫌中」の意識が色濃く見られたという。ヤフコメがいかにネトウヨの溜まり場になっているかが統計的、数量的に示されたわけだ。
もっとも、単に韓国政府の政策を批判したり、あるいは歴史問題について私見を述べることは、批評として言論の自由の範疇であり、これを一方的に規制してはならない。しかし、こうした他国民への悪罵を重ねる嫌韓嫌中の言説は、容易に、国籍や民族で差別するヘイトスピーチに繋がりやすいのも事実だ。では、嫌韓嫌中コメントに対し“複数アカウントでの投稿禁止”は効果があるのだろうか。
一人のネトウヨによる大量投稿がなくなる分、多少、ヘイトの量が減るということはありうるだろう。しかし、実際のところ、黒に近いグレーゾーンの言辞は現在でも韓国関連記事などのヤフコメに多数投稿されている。Yahoo!ニュースは、2015年の時点で「ヘイトスピーチなどへの対応を強化」する方針を決めているが、具体的にどう対応しているのかは定かではない。
少なくとも、Yahoo!ニュースが今後もヤフコメ機能を継続していくならば、当然、明白なヘイトスピーチの駆除を徹底しつつ、嫌韓嫌中の言辞と向き合って、その“悪質性”を判断し、他のモデルになる必要がある。それが国内最大のポータルサイトとして最低限の責任だろう。
(編集部)
最終更新:2017.12.06 03:38