ポンコツぶりを次々露呈も揺るがないともちんラブ
そして昨年、安倍首相は悪夢のような人事を決行する。“命を捨てて国を守れ”と繰り返し口にしてきた稲田氏を、よりにもよって防衛相に任命したのである。この人事には、中国や韓国のみならずアメリカのワシントン・ポストほか多くの海外メディアが「極右」として稲田防衛相を紹介、警戒感を示した。しかし、そんな批判は安倍首相にとって想定内だったはずで、それよりも自分と同じ思想をもつ稲田氏に自衛隊トップを張らせたかったのだ。
それでも、安倍首相が計算外だったのは、一目ぼれした稲田氏の「弁舌」が、まったくの役立たずだったことだろう。
それが如実に表れたのが、南スーダンへの自衛隊派遣問題だ。稲田防衛相はそれまでも過去の極右発言を追及されて涙目になるなど狼狽えっぱなしだったが、昨年9月30日に自衛隊宿営地周辺で戦闘行為が起こったのかと国会で追及を受けても、まともに答えられないという失態を演じた。
当時の「週刊現代」によると、同日夜、安倍首相は今井敬・経団連名誉会長と会食したが、なぜか意気消沈していたといい、自民党幹部議員はその理由を「昼間、ともちんがいじめられたからじゃないか」と分析している。
「ともちんをいじめから守らなくては」と安倍首相は考えたのだろうか。その数日後の同年10月3日には、野党から「米軍が日本に駐留する理由は米国の利益であり、日本を守るためではない」という過去の発言について追及された稲田防衛相に対し、安倍首相は「打撃力だね、打撃力」と助け船を出している場面が見られた。それを受けて稲田防衛相は「たとえば打撃力、そういった点においてもアメリカとの同盟は重要」と答弁したのだが、安倍首相に助けてもらわなければ答えられないとは、どれだけ稲田防衛相が低レベルなのかという話だ。
しかも、今年に入り、前述したスーダンPKO日報隠蔽や森友学園問題の虚偽答弁などで、稲田防衛相が火だるまになった後も、安倍首相はそのまま守り続けるつもりだったのではないか、との見方もある。
「8月の内閣改造で更迭するという見方の一方で、永田町では、首相周辺から稲田氏を批判する声が全く聞こえてこないことから、留任させるつもりなんじゃないかという見方が流れていました」
そして、今回の「自衛隊として」発言で自民党内からも「稲田氏はアウト」という声が上がっても、前述のように、安倍首相は稲田防衛相を辞任させるつもりはさらさらない。
「加計学園問題で支持率が急落して、都議選の大苦戦が伝えられているところに、このタイミングで稲田防衛相を辞任させたら、さらに報道が大きくなり、選挙はもっとひどい結果になる。そうなると、自身の任命責任論に発展し、政権が大きく揺るぎかねない。そこで、国会が開いていないのをいいことに、8月でなんとかごまかし、内閣改造でこっそり稲田防衛相や金田勝年法相を更迭してしまおうという作戦にしたようです」(大手紙記者)
内閣改造でガラガラポンにすればいいと高をくくる安倍首相。だが、何度でも言うが、稲田防衛相に政治家としての資質などかけらもない。ただの極右雑誌ハガキ職人のネトウヨ弁護士を防衛相にまで引っ張り上げたのは、安倍首相なのだ。稲田防衛相の罷免はもちろん、自らの任命責任もしっかり取ってもらわなくてはならないだろう。
(編集部)
最終更新:2017.12.06 03:33