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作品を模倣して性犯罪が起きたと警察が漫画家に“描くな”の圧力! 作家たちが一斉に反発、共謀罪施行後を危惧

とり・みきや島田虎之介は県警の対応に共謀罪への危惧を募らせる

 もうひとつ、この騒動が示唆していることがある。それは、いわずもがな、共謀罪施行後の社会に何が起きるか、ということだ。漫画家のとり・みき氏や島田虎之介氏は、この騒動に共謀罪を重ね合わせ、以下のようにツイートしている。

〈共謀罪は心配しすぎという人いるが、現行法でもこういうことしちゃう取り締まり側がいる以上心配なわけですよ……〉(とり・みき)
〈「あのマンガのせいで犯罪しました」というテキトーな言い訳を根拠にしてマンガ家に注意を与えた警察が、「あの人たち何か企んでますぜ」というテキトーな密告で一般市民をしょっぴかない訳がないのだ共謀罪〉(島田虎之介)

 上述の小説家・深町秋生氏も〈なんぼでも理屈つけてブタ箱に引っ張れる法律もできそうだしのー。〉と共謀罪を危惧していた。

 共謀罪をめぐる反対意見の根拠となるもののひとつに「公権力による恣意的な解釈への危惧」があるのはご存知の通り。警察が法律の拡大解釈を繰り返し、結果として大規模な思想弾圧を招いた治安維持法の失敗が繰り返されるとして、共謀罪には反対の声が相次いでいたわけだが、この一件はまさしく、公権力が恣意的な解釈の果てに作家に対して圧力を加える可能性があるということを示唆した騒動である。とり・みき氏や島田虎之介氏が言うように、共謀罪が施行された後には、こういった光景は日常で繰り返されるものになるだろう。

 今回は、一般的なモラルから逸脱した漫画作品が対象とされ、表立って反対を唱えるのに躊躇する声も聞かれたこと、また出版社など組織的な後ろ盾のない同人作品だったことについて、朝日新聞の丹治吉順記者や前述の山口貴士弁護士はこのようにツイート。そのような反論の出しづらい案件だからこそ警察はこのような動きに出たのではないかと指摘している。

〈犯罪の手法を伝えるのが問題なら、警察はまず新聞社やTV局、あるいは犯罪ルポや推理小説の出版元に申し入れなさい。弱い立場の同人作家から始める。炭鉱のカナリア案件かもしれぬ〉(丹治吉順記者)
〈犯罪者に模倣されそうな作品は、映画でもドラマでも小説でも、エロではないマンガでも幾らでもあるのに、埼玉県警が「エロ同人誌」をわざわざ選んだところに、先例を作り、突破口を開きたいという意図を感じます。〉(山口貴士弁護士)

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