山口が相談したのは“官邸のアイヒマン”の異名をもつ北村滋
なんとも間抜けな話だが、しかし、このなんの挨拶もなく始まる簡潔なメールからは、山口氏と北村氏が以前から非常に近しい関係にあること、そして、「週刊新潮」が掲載した準強姦疑惑記事や女性の名前についても、2人の間でわざわざ説明の必要もないくらいに情報を共有していたことがはっきりとうかがえる。おそらく、かなり前から山口氏はこの問題を北村氏に相談していたと考えて間違いないだろう。
「週刊新潮」は第一弾で、山口氏が準強姦容疑で逮捕寸前だったにもかかわらず、菅義偉官房長官の右腕といわれるエリート警察官僚・中村格刑事部長(当時)が捜査にストップをかけていたと報道。山口氏が官邸に依頼して、事件を潰してもらった可能性を示唆していた。山口氏はこれを完全否定していたが、もとは警察庁外事課長などを歴任したエリート警察官僚である北村氏にこんなメールを送っていたところをみると、2年前の時点でも官邸に「準強姦事件と逮捕状もみ消し」を相談していた可能性も非常に高くなってきた。
しかも、両者の関係がここまで近しいというのは、たんに個人的なスキャンダルや事件もみ消しという話にはとどまらない。山口氏のメディアでの発言やジャーナリズム活動の裏にも、北村内閣情報官の意向が働いていると考えるべきだろう。
実際、北村氏といえばこの間、安倍首相の“私兵”として数々の謀略を主導してきた。もともと、第一次安倍政権で首相秘書官に抜擢された北村氏は、日本版NSC立ち上げにも深く関わり、特定秘密保護法の法案策定でも中心的役割を担ったが、第二次安倍政権で内調トップに就任すると、安倍首相の右腕となって、政権を利するための謀略情報を仕掛けるようになった。
内閣情報官の首相への定例報告はそれまで週1回程度だったのだが、ほぼ毎日のように首相と面会。以後、“首相の特務機関”として暗躍する北村氏のもと、内調が動いたと見られる政敵のスキャンダルは枚挙にいとまない。
本サイトでも何度も取り上げてきたが、たとえば、不正献金問題で辞任した西川公也農水相(当時)の疑惑隠し、保育園対策の不備を追及した民進党・山尾志桜里議員の「ガソリン代計上問題」、翁長雄志沖縄県知事に対する「反日媚中バッシング」、SEALDsをはじめとする安保反対デモへの怪情報の数々、さらに蓮舫民進党代表のいわゆる「二重国籍問題」などなど、これらの大元はすべて、北村氏の指示で内調や公安に嗅ぎまわさせて、デマ情報を御用メディアやジャーナリストにリークするなどの“仕掛け”を行なったと言われている。
また、安倍首相が“JR東日本は革マル派に支配されている”などの左翼陰謀論をどんどんエスカレートさせ、共謀罪などの監視体制を強化する法整備に動きはじめたのも、この北村氏の存在が非常に大きいとも言われている。