共謀罪「一般市民は対象外」と言う安倍首相は「いつもの強引な押し切り方」
一方、共謀罪はテロ対策などではけっしてないということを、後藤氏は共謀罪が国会で審議入りした日の夜から訴えている。
「警察幹部のOBですら、『テロについてはもうすでに既存の法律で十分対応できる』と言っているんですね。共謀罪については13、予備罪については27もの法律がすでに存在していると、こう言っている」(4月6日放送)
その上で、後藤氏は「準備段階で捜査対象になる」という点から共謀罪の危険性を指摘する。
「まだ実行行為に至らない、その準備段階で捜査対象にするという法律ですから、仮にこの法律が成立すると、それを支えるものは何かと言えば、すべて情報なんですね。そうすると情報を得るために何をするのか。たとえば会話を盗聴する、電話を傍受する、あるいはおとり捜査をするといった情報手段の法整備がどんどん広がっていく」(4月5日放送)
「どんどんどんどん捜査手段が拡大していく。それが取り返しのつかない事態を招く」(4月17日放送)
「自分が監視されている、見られているという思いをするだけで、立派に抑止力というのは働いてしまう。そうすると一億総監視社会ができあがってしまうと。非常に恐ろしいと思いますね」(同前)
当然、後藤氏の批判はこの危険な法案を通そうと躍起の安倍首相にも向かう。
安倍首相は「一般市民が巻き込まれる懸念はまったくない」という答弁を繰り返しているが、後藤氏は「『まったくない』というのは安倍総理が国会答弁でしばしば使うものですが、そういう強引な押し切り方で果たしてこの法律を通していいのかと、ずっと懸念が膨らむ」(4月17日放送)と疑問視。他方で、安倍首相が北朝鮮危機をことさら煽っていることについて、視聴者にこう警鐘を鳴らしたのだ。
「とくに私が非常に心配なのは、北朝鮮情勢の緊迫化に伴ってですね、日本全体のなかにこの『テロ等準備罪』という名称に引きずられたような法案を積極的に容認しようという空気があるということ。逆にこういうときこそ、一歩留まって、慎重に考えるべきだと思うんですね」