昭恵夫人が「サミットを伊勢でできたらいいわね」と語り合っている「主人」「彼」とは、ほかでもなく安倍首相のことだろう。実際、2015年8月1日に昭恵夫人が三重県いなべ市で行った講演会の模様を、中日新聞は以下のように伝えている。
〈(昭恵夫人は)サミットの同県志摩市での開催地決定について、「サミット、三重がいいんじゃない」と安倍首相にささやき続けたエピソードを明かした。
昭恵さんは「伊勢神宮がある三重県でサミットができたら、どんなにすてきだろうと思っていた」と話し、首相の決断を「各国の首脳にお参りしてもらい、平和な国際社会をリードしていくという思いもあったのでは」と推し量った。
女性の聴衆に「ご主人のおかしいと思うことは耳元でささやいて。その一言が心のどこかに残ると思う」と語りかけ、「サミットも、三重県がいいんじゃない、とささやき続けたのが効いたのかも」と笑いを誘った〉
ようするに、昭恵夫人はもともとサミットを伊勢志摩で開催することを熱望して、安倍首相に進言していたのである。赤塚氏に開催決定を事前漏洩したのも、自分の希望どおりに開催地が決まったため、黙っていられなかったのだろう。そう考えると、籠池夫人に5日午前中に電話をかけていた疑いはますます高まるし、それどころか、他の知り合いにも事前漏洩していた可能性もある。
しかも、このブログから読み取れるのは、機密漏洩だけではなく、サミットという国家の重要な外交行事を、首相夫人が私物化していたという事実だ。
前述の通り、赤塚氏と昭恵夫人が会い、伊勢志摩でのサミット開催を祈ったのは2015年1月3日のことだが、安倍首相がサミット開催地に伊勢志摩と言い出したのも、2015年の1月のことだった。
同年1月5日に安倍首相は閣僚らとともに伊勢神宮を参拝しているのだが、朝日新聞2015年6月6日付によれば、その際、安倍首相が「ここはお客さんを招待するのにとてもいい場所だ」と言い、これを聞いた首相周辺が、同行していた鈴木英敬三重県知事に「サミット候補地として立候補すればいい。いま直接、首相に伝えるべきだ」と進言したという。そして、鈴木知事が「今から手を挙げても間に合いますか」と訊くと、安倍首相は「いいよ」と即答したというのだ。