また、安倍首相と昭恵夫人は夫婦そろって籠池理事長の教育方針に賛同していたことは、どんなに言い繕うが紛れもない事実であるが、「アキエリークス」で公開された昭恵夫人の講演会スピーチを見ると、いかにこの夫婦が“一体化”してきたのかがよくわかる。昭恵夫人は当時、議論となっていた安保法制について、こんな話を聴衆に語りかけている。
「戦争反対というのはみんなそうだと思うんですけど、それをデモをして、『反対!反対!』と言ったからといって決して平和にはならない、というふうに思っているので、じゃあどうやって平和をつくっていったらいいのかということ。やっぱりみんなで考えていかなくてはいけないんだろうと思います」
「マスコミや一部の方たちは『戦争法案である』というふうに言われて、それを煽り立てていくことによって、若いお母さんたちは『うちの子どもを絶対に戦争にやるわけにはいかないからこの法案を通してはいけないんだ!』っていうふうに思われます。ほんとうに戦争法案だったら、もちろん反対していただきたいというふうに思うんですが、これはほんとうにそんなことではなくて」
戦争法案だからこそ多くの人びとが反対していたのだが、昭恵夫人はまったくそれを理解していない。これまで「家庭内野党」を標榜し、夫と意見が対立することを厭わない姿勢を打ち出してきた昭恵夫人だが、結局は夫と歩調を合わせて同じ主張をし、国民からの声を無視していたわけだ。
昭恵夫人は3月21日に行われた講演会で「この国のため、社会のため、弱者のため、世界の平和のために、休みもなく日々がんばっております」などとアピールしたが、彼女が言う弱者や世界の平和とは一体何なのか、と疑わざるを得ない。実際、園児が昭恵夫人に向かって「中国から鉄砲とかくるけど、絶対に日本を守ろう」と言い出す現実を目の当たりにしても、昭恵夫人は「ありがとう」などと感動すらしてみせていたのだ。まるで安倍首相に成り代わったかのように。
にもかかわらず、冒頭で述べたようにワイドショーなどでは昭恵夫人を「自由奔放な方」などと擁護するが、今回の森友問題は“夫のお墨付き”があってこそ昭恵夫人はここまで踏み込んでいたと考えるべきだろう。
そして、昭恵夫人に財務省を動かすほどの権力を与え、黙認していたのは、ほかでもなく安倍首相だ。この事実を踏まえないことには、森友問題の深層はあきらかにならない。
(編集部)
最終更新:2017.11.22 01:34