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森友学園が安倍政権の“愛国教育”との訣別を宣言! 一方、安倍内閣は“教育勅語の復権”を閣議決定!

 つまり、籠池前理事長の方針であった「教育勅語の暗唱」に象徴される極右教育は、第一次安倍政権が「我が国と郷土を愛する」「公共の精神を尊び」などを盛り込んだ改正教育基本法(以下、06年教基法)を実践したものであると明確にしているのだ。

 続けて声明文では、今年度からの新体制において〈平成18(2006)年改正の教育基本法に基づく前理事長の教育理念と方針及び指導法を批判的に総括〉し、〈教育基本法が昭和32(1947)年に制定された際に示された「われらは、個人の尊重を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造をめざす教育を徹底普及しなければならない。」との指針を常に念頭におきつつ、内容・カリキュラムを柔軟に見直してまいります〉と宣言。同時に、同園ではびこっていたヘイトスピーチの問題についても、〈全職員と共に精査し、改善すべき点があれば真摯に反省するとともに、今後、問題の発生を根絶する事をお約束いたします〉と、是正に向けた姿勢を強く打ち出している。

 ようするに森友学園は、昭恵夫人が「こちらの教育方針は、主人も大変素晴らしいと思っています」と賞賛した極右教育が、そもそも安倍政権の教育政策を強く反映したものであったことを明確にしたうえで、その内容を自ら否定し、改善するというのだ。森友学園から安倍政権に対する完全な“決別宣言”といってもいいだろう。

 もちろん、これまでの籠池前理事長の言動や、いま森友学園が置かれた状況を鑑みると、今回の町浪新理事長名義での声明についても、現時点では一定の留保が必要ではある。しかし、声明文が実に正論を述べているのもまた事実だ。とりわけ繰り返すが、塚本幼稚園の極右洗脳教育が第一次安倍政権による06年教基法を実現したものであったとの自己認識は、いまの日本社会を見つめ直す点で極めて重要である。

 振り返れば、政権発足とともに「教育再生会議」を設置した第一安倍政権は、「教育の憲法」とよばれる教基法の約60年ぶりの全面改正に着手。数多の批判を受けながらも強行成立にこぎつけた。その中身としては、前述のように「我が国と郷土を愛する」と新たに盛り込むことで子どもたちに復古的なナショナリズムを強要した、いわゆる「愛国心条項」がよく知られている。だが、06年教基法はそれ以外にも、安倍首相がいかに人権を軽視し、平和主義を否定しているかを強くにじませるものだった。

 たとえば前文だけでも、47年教基法で〈真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造性を目指す教育を徹底普及しなければならない〉と宣言された箇所が、06年教基法では〈真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と想像性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する〉に変更されている。

 比較すれば瞭然だが、06年教基法は、従来の人間が希求する対象としての「平和」を削除して「正義」なる文言に置き換えている。これは、あきらかに戦争という「平和」に反する行為を「正義」の名の下に正当化するやり方だ。さらには「個性」が消された一方、「公共の精神を尊び」が挿入されているが、これはひとりひとりの権利を意味する「個」よりも、国家というシステムに置き換えられる「公共」を優先せよとの号令を意味している。個人の基本的人権を制限し公益を優先させるという自民党改憲草案を先取りしたような内容だ。

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