実は、マツコには「友達以上恋人未満」と呼んでもいいかもしれない、ある人物がいる。その人物とは、人気AV男優のしみけん。最近では、雑誌連載や著書も多数出版、テレビ番組の出演も多く、AV以外の場での活躍も多い彼だが、そんなしみけんとの関係を、マツコは「週刊新潮」(新潮社)2012年6月21日号のなかでこのように語っていた。
「弟みたいな感じよ。清く美しい感じよ。エロいことは1回もないわよ。彼はゲイじゃないし、顔も私の好みじゃないのよ。ただ、しみけんにAV男優を紹介してもらったことはあったわ。なんか、AV男優ならなんとかなると思ったのよ。思うじゃない? 10人くらい紹介してもらったわね。電話を取り次いでもらったり、3人で食事したり。でも全部玉砕よ! 終いには、しみけんが“俺でよかったらいいっすよ”と言ってくれたけど、彼は弟みたいなもんなのよ」
しかし、なぜ、マツコ・デラックスとAV男優にそんな深い関係があるのか? そのきっかけは、マツコがゲイ雑誌「Badi」(テラ出版)の編集者だったころまで遡る。前掲「週刊新潮」ではこのように語っている。
「私が(ゲイ雑誌の)「Badi」で編集者をしていたころ、彼がモデルに応募してきたのがきっかけよ。いろんな話をしているうちに、彼はセックスが純粋に好きなんだとわかったわけ。AV男優に向いていると思って、そう話したわ。今やトップ男優だから、私の人を見る目も間違ってないって思ったわよ。以来、15年も関係は続いているわよ」
しみけんにとってマツコはまさに「恩人」といった存在である。そもそも、彼はAV男優になりたかった。だが、どこかのメーカーがAV男優を募集しているわけではない以上、ズブの素人ではどうすればAV男優になれるのかも分からない。そこでなんとかAV業界への足がかりを掴もうと、たまたま広告を見た「Badi」のモデル募集に応募した。ゲイ雑誌も同じアダルト業界。ここで認められれば、いずれAV男優になることができるのではと思ったからだ。
しかし、半年が過ぎてもいっこうに自分の進みたい道への足がかりは掴めない。それもそのはず。ゲイ雑誌業界とAV業界は、一見似ているようで実はまったく違う業界。いくらそこで頑張ったところで、その道は自分の夢にはつながっていない。しみけんにそのことを教えてくれたのがマツコだったのだ。しみけんの著書『AV男優しみけん 光り輝くクズでありたい』(扶桑社)には、そのときのことがこのように綴られている。
〈ある日、「Badi」の撮影で九十九里浜に出掛け、待ち時間にロケバスのなかで担当編集のマツコさんとおしゃべりをしていました。
「お前、絶対AV男優になれ!」
「AV男優にならないと、将来、犯罪者になるぞ!!」
と、延々と「AV男優になれ!!話」が続き、「このままゲイのグラビアをやっていても、AV男優にはなれない」と知らされたのです。
このとき初めて、ゲイとAVは別の業界だということを教えられました〉