また、修正テープの下には「安倍晋三」という名前と重なる形で「匿名」と見える文字もある。「安倍晋三」と書いた後、「匿名」に書き直し、さらに「森友学園」に修正しているのだ。意図的な仕掛けなら、こんな手の込んだことはしないだろう。
もちろん、籠池理事長が最初、「寄付者には安倍総理もいる」と私学課や財務省にハッタリをかけるために、自分で100万円を用立てて首相の名前を勝手に記入したという可能性はあり得るだろう。
しかし、それならば安倍首相のみならず寄付者名簿を同じようなかたちで処理し、口利き依頼をしていた鴻池祥肇議員などの有力議員の名前を並べ立て、勝手に寄付者だと言い募ることもできたはずだ。しかも、公開された寄付者名簿のうち他の約50件分の金額を見る限り、大半が数万円の小口寄付ばかりで、100万円という金額は突出している。私学審が森友学園の財務状況に懸念を示していたように、籠池理事長は自分の金で大口寄付者をでっち上げるような経済状況ではなかった。少なくとも、この直前に誰かから100万円を受け取っていた可能性はきわめて高いのではないか。
また、籠池理事長が昭恵夫人から受け取った100万円のうち10万円を「感謝」という名目でその日のうちに返金したと説明したことを「そんなことするわけがない」という疑問も出ているが、これについては、いま、SNS上で「“おため”なのでは?」という声も上がっている。「おため(お多芽)」とは関西地方の古くからの風習で、祝儀の金額の1割を現金で返すのだという。実際、籠池理事長くらいの世代には普通に習慣として根付いており、今回も100万円の「お祝い」を貰ったことから、風習に則り1割の10万円を籠池理事長は現金で返したのではないか、というのだ。
ただし、それで寄付金額を90万円としたら、先方に失礼にあたる。そこで、10万円を講演料として支払ったことにして、100万円を安倍晋三からの寄付金として計上したと考えられるのだ。実際、塚本幼稚園のPTAの収支決裁報告書の支出欄には、昭恵夫人が講演し、籠池理事長が100万円を受け取った9月5日付けで「首相夫人安倍昭恵先生」と記載されていたことが明らかになっている(金額はその他の社会教育支出と合わせて40万円)。
籠池理事長が“嘘つき”であることは否定しないが、こと安倍首相との関係については、いまのところ論理的な破綻はなく、むしろ証言を裏付けるような証拠が次々と出てきているのだ。
さらに、今晩10時には、菅野氏が多くのマスコミとともに籠池氏の長女に寄付金授受の模様をインタビュー。当日、長女は職員室にいたが、籠池夫人から「小学校を建てるにあたって安倍さんからいただきました」「(安倍夫妻)おふたりの気持ちが入っている」「ありがたいな、がんばろう」と、100万円を手渡されたと話した。
また、振込票から安倍晋三の名前を消した経緯についても、事務所で安倍晋三と書いた振込票を職員がもっていったところ、郵便局員にだめだといわれ、会計士に相談して森友学園に書き直したのだという。また、長女は「昭恵夫人から匿名にしてほしいという意向があった?」という質問に「あったと認識しています」と答えていた。