「別冊正論」(産経新聞社)28号
〈物質世界の向こう側 霊性・霊界ガイド〉
〈壇蜜の“あの世”問わず語り「霊界はハッピー!」〉
〈徹底分析!日本人の霊界観 見えなかった「あなた」が見える〉
こんなオカルティックな惹句が表紙を飾る雑誌が、少し前、一部で話題になった。「月刊ムー」ではない。実はコレ、「別冊正論」(産経新聞社)の11月発売号なのだ。
「別冊正論」といえば同じく産経発行の「正論」の姉妹誌で、もともと従軍慰安婦や南京事件の否定、「大東亜戦争」の肯定、中国・韓国バッシング、そして憲法改正の主張など、歴史修正主義と国粋主義丸出しのオピニオン誌。ところがそんな極右雑誌が、なぜだか最新号でまるまる一冊“霊界特集”を組んできたのだから驚きである。
いったい、どういうことなのか。気になって読んでみたのだが、とにかく最初から最後までオカルト丸出しの匂いで胸焼け必至なのだ。
「『霊性』『霊界』って、私は小さいころから、そういうものを大切にする環境でしたから、あって当たり前だと思って育ったんです。フフッ」と妖艶に語る壇蜜を筆頭に、「霊はいて当たり前、霊はいることが普通です」とか力説するつのだ☆ひろ、「先祖のビジョンが出てきたんです」と語る南こうせつら有名人の霊体験告白、家田壮子や黒鉄ヒロシの霊界説法、編集部の手による「霊界の肉親とふれあった」人たちのルポ……。
さらには、「サムシング・グレート」なるトンデモ科学の提唱者として知られる村上和雄・筑波大学名誉教授が登場し、こんなことを当たり前のように述べている。
「一般に、人間の『魂』というものは時空を超えて連続し、死んで肉体が滅びても、『魂』はなくならないとされます」
「『魂』は人間レベルを超えて、大いなる存在につながっていると思います。だから、魂の健康には、人間を超えた『大いなる存在』ときちんとつながっている状態が大切であると、私は考えるのです」
「(アルコール依存症は)飲酒に伴う精神・身体レベルの問題以外にも、『魂』のレベルにおいて病んでいくと考えられるのです。そのため、依存症から真に回復するには、十二の階段を踏んで『大いなる存在』へと近づく生活を、心がけることが大切とされています」