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自民党が「政治的中立」で教員を締め付け! 憲法改正と連動し平和・人権教育潰しがいよいよ本格化か

 そして今回、さらに自民党は、処分の厳格化と教員の理念を法律によって規定し縛る方針を打ち出した。これが一体、何を意味するのか。それは、政治的中立性の名の下に「人権や平和を守れ」という教育を潰すことに他ならない。実際、これは憲法改正の動きと完全に結び付いたものだ。

 だいたい、自民党は「政治的中立性」などというが、もし、教育勅語の完全復活を唱え、「国家のために命を投げ出せ」という学校や教師がいても、自民党は絶対にスルーするはずだ。

 事実、件の「密告フォーム」が設置されて以降、7月13日には読売新聞Web版が、名古屋市立中学校の男性教諭が「与党の自民・公明が議席の3分の2を獲得すると、憲法改正の手続きを取ることも可能になる」「そうなると、戦争になった時に行くことになるかもしれない」と発言したことが問題となって謝罪したと報道。“偏向教師がいる”と言わんばかりに、この教諭を追及するトーンで記事にした。さらに、10月7日の産経新聞でも、北海道苫小牧の高校で教員2名が4月に安保関連法に反対し署名を呼びかけるチラシを配っていたことで訓戒処分を受けたと報道している。

 まるで戦時下の隣組のように市民同士を監視させる自民党の「密告フォーム」について、読売・産経両紙は一度も記事にしなかったが、こうしてすでにマスコミも巻き込むかたちで、安倍政権の政策に異論を唱える発言や行動の封じ込めがはじまっている。

 何度でも言うが、安保法制はほとんどの憲法学者が憲法違反だとしたとんでもない法だ。そして、「子供たちを戦場に送るな」と訴えることも、「憲法違反の法案に反対」することも、当たり前の行為である。しかし、それさえも政権与党から「政治的中立性に反している」として処分対象となり、連動してメディアで糾弾されれば、教育現場だけでなく社会全体が萎縮していくことは確実だ。

「政治的中立性」という一見もっともらしい言葉を、着実に人びとを黙らせるためのマジックワードに仕立て上げてきた安倍政権。曖昧な言葉による思想統制ともいえる蛮行を、どこまでエスカレートさせていくつもりなのだろうか。
(水井多賀子)

最終更新:2016.12.10 08:04

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