さらに実際に外国のNGO関係者らが泊まるジュバ市内のホテルが兵士100人に襲撃された事実も判明している。10日放送の『NEWS23』(TBS系)では、フィリピン人のNGO職員のジアン・リボット氏がその時、同僚が殺害された様子をVTRでこう語っている。
「私たちの目の前で彼は射殺された。敵対する部族の出身だという理由で彼は射殺された」
殺害されたNGO職員は、額の模様から反政府側の部族出身であることが明らかだったという。さらに、番組では「大統領警護隊のワッペンを付けている兵士がいました」という証言も紹介。つまり、ホテルを襲撃したのは政府軍の兵士だった可能性が高いのだ。
このケースでは、リボット氏らは襲撃された際、PKOに連絡していたという。つまり、実際に「駆けつけ警護」が要請されたことになるが、仮に同様のケースで自衛隊が「駆けつけ警護」を行い、政府軍の兵士と戦闘になれば、《国際紛争を解決する手段として》武力行使等を禁じた憲法9条に明らかに違反する。
安倍首相は昨年9月14日の安保法制特別委で、「駆けつけ警護」についてこのように答弁していた。
「領域国の受入れ同意は、国際法上の要件としてだけではなくて、このような前提を確保することによって国又は国に準ずる組織が登場しないことを担保する」
つまり「駆けつけ警護」では、「国又は国に準ずる組織が登場しない」ことを想定していたのである。ところが、リボット氏らのケースで襲撃したのは、「国又は国に準ずる組織」である政府軍の兵士だった。しかも南スーダン政府は表面上PKO部隊増派受け入れを表明してはいるものの、部隊には「必要なあらゆる手段を行使」できるなど非常に強力な権限が与えられており、南スーダン政府幹部は「内政干渉だ」などと強く批判しているという。こうした状況を考えれば、自衛隊と政府軍が対峙する可能性も決して低くない。
ようするに、そもそも南スーダンへのPKO派遣自体が違法である疑いが濃厚であるにもかかわらず、安倍政権はいま、さらに自衛隊に「駆けつけ警護」等の新任務を付与しようとしているのだ。しかもそのために、実際は多数の犠牲者が出ているのに「治安は落ち着いた」などと平気で嘘をつき、さらにその点を国会で指摘されると「戦闘」を「衝突」と言い換え、とことんゴマカシにかかる。こんなデタラメがまかり通っていいわけがない。
何度でも言うが、この安倍政権の方針の先に待っているのは、自衛隊員の“戦死”、そして、外国の政府軍と日本の自衛隊が殺しあう戦後初の“戦闘”だ。それでも安倍首相が「駆けつけ」警護を付与しようと言うのならば、もはやそれは“戦争の準備”としか言いようがないだろう。
安倍政権の卑劣な詭弁を、このまま看過してはいけない。自衛隊員の“戦死”、そして日本の“戦争突入”を防ぐために、あらためて新安保関連法という異常な法律を廃止に持っていく必要がある。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.24 07:28