稲田朋美HPより
稲田朋美防衛相がまたまた、無責任ぶりと醜態をさらした。先月30日の衆院予算委員会では、ジブチ訪問を言い訳にして信条にしてきた靖国参拝だけでなく、全国戦没者追悼式にさえ出席しなかったことを民進党の辻元清美議員に追及され、あろうことか言葉を詰まらせ涙ぐんだ稲田防衛相だが、本日開かれた参院予算委員会でも民進党の蓮舫代表に過去の発言を突きつけられ、しどろもどろ状態に。満足な答弁もできず、何度も審議は中断されてしまった。
しかも、本日の国会で追及を受けたのは、2011年3月号の「正論」(産経新聞社)に掲載された対談記事での発言についてで、その対談のなかで稲田氏はこんなことを述べていたのだ。
「今、防衛費は約四兆六千八百億円(二十二年度予算)で、GDPの一%以下です。民主党が平成二十一年衆院選で約束した子ども手当の満額にかかる約五兆五千億円よりも少ない。この子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づきます。自分の国を自分で守ることを選ぶのか、子ども手当を選ぶのかという、国民に分かりやすい議論をすべきでしょうね」
「子ども手当よりも軍事費」──まさに現在の安倍政権が、防衛費は過去最高となる増額を続けている一方で社会保障費を削減している現状と重なり合う発言だ。しかも、本サイトでも繰り返し指摘しているように、稲田氏は防衛トップの座にいながら、夫名義で“軍事産業株”を大量取得していたことが発覚している。「社会保障よりも軍事に回せ」という過去の発言が問題視されるのは当然の話だ。
だが、こうして問題を突きつけられた稲田防衛相は完全にうろたえ、“当時は民主党政権時で安全保障・防衛政策に危機感をもっていたからだ”と言い訳を連呼。それで納得できる話であるはずもなく、結局は「そういった状況のなかで子ども手当をつけるのであれば、防衛予算を増額すべきではないかということをこの場(対談記事のこと)で指摘しているということでございます」と発言を認め、「私は社会保障の政策、子育て政策、大変重要だと思っております」ととってつけたように弁解した。
いくら「民主党政権時代の話」と本人が言い張っても、当時から考えが変わったということはあり得ないだろう。現に、蓮舫代表が追及した件の対談のなかで稲田氏は、「野党だから思い切った正論がいえるということもあります」と話している。裏を返せば、「子ども手当より軍事費」という発言は「与党なら言えない“本音”の正論」ということだ。