上・自由民主党ホームページより/下・島尻安伊子オフィシャルサイトより
それはあまりにもむごすぎる光景だった。昨日、沖縄防衛局は沖縄県東村高江の米軍北部訓練場に新たなヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)の建設工事を再開、全国から投入された約500人の機動隊が抗議をする市民たちを力任せに次々と排除した。
しかも、そのやり方は暴力的なものだった。反対する市民ひとりに何人もの機動隊員がよってたかって身体を拘束し、さらには県道も規制することで反対する市民がトイレに行くことも封じようとしたのだ。
このように約150人しかいない高江に大量の機動隊を配備するという異常さもさることながら、国は同時に、もうひとつの暴挙に出た。沖縄県に対し、辺野古埋め立ての承認取り消しを求める国の是正指示に従わないことが違法として新たな訴訟を起こしたのだ。
国と沖縄県は今年3月4日に、国が翁長雄志沖縄県知事を相手に訴えていた代執行訴訟で和解が成立し、双方が訴訟を取り下げ「円満解決に向けた協議」を続けてきたはずだった。安倍首相も「埋め立て工事を中止する」と明言し、国と県がそれぞれ行政手続きなどを取り下げて、代執行以外の手順を進めるとしていた。さらに6月には県が政府を提訴する予定だったが、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」がさらなる「協議」を促したため県は提訴を見送っていた。
協議がスタートしようとしたこの時期に一転、政府による強行とも思える再提訴。──これは、これまでの「協議での解決」を前提にした和解を踏みにじるものである。
もちろん、こうした安倍政権の強権的な姿勢は、あきらかな“報復”だ。ご存じの通り、7月10日の参院選では安倍首相が沖縄担当相に抜擢した現役閣僚である島尻安伊子氏が落選し、反基地の新人・伊波洋一氏が初当選。沖縄では14年の知事選以降、今年6月の県議会選挙、そして今回の参院選と3度続けて反自民、反基地勢力という民意を示してきた。
だが、こうした沖縄県の民意に対し、安倍政権はさまざまな嫌がらせを行ってきたが、とくに今回の参院選後は苛烈を極めている。現に、政府は参院選翌日から高江のヘリパッド建設工事に向けて機材搬入を開始。あまりに露骨すぎる態度だが、このヘリパッドではたんなるヘリコプター着陸帯ではない。すでに完成している2カ所のヘリパッドには、危険性が指摘されている新型輸送機オスプレイによる訓練が行われており、地元では昼夜を問わずに低空飛行を繰り返している。