世間知らずで、もともと権力的な体質をもっている林の夫はある意味、産経にコロッと騙されてしまうタイプの人物だったということなのかもしれない。
もっとも、林はこの対談でたんに“夫のネトウヨ化”の愚痴を言いたかったわけではない。林は夫の例を引き合いに出しながら、日本のメディア状況、そして朝日の現状にこう喝を入れている。
「私は右側のものも左側のものも読んでいますが、朝日は暴力的なくらい左にいってもいいと思うんですよ。そうでもしないと、世論がどんどん右側にいっちゃう」
これはまさしく正論だ。いまでもたまに上から目線の説教をして炎上を繰り返している林だが、さすが、世の中の空気やメディアに対する嗅覚は衰えていないということだろう。
ちなみに、対談でこうした鋭い発言を連発した林に、相手の島田は「『男のメンツ』とか言ってるバカなオッサンたちをたしなめる伯爵夫人的なポジション二ングを目指すべき。(略)林さんは今まさに、そういう役割をされてますね」と話していたが、それに対する林の答えもまたふるっていた。
「してませんよ。それは曽野綾子さんとかじゃない? 曽野さんって、何を言っても怒られないし。以前も『出産したら会社はお辞めなさい』という発言しても許されている希有な存在です」
謙遜するふりをして微妙に曽野をディスる林。この怖いもの知らずの感じを見ていると、林が曽野のポジションにとって代わる可能性は十分あるかもしれない。そして、そのほうがずっとマシであることは言うまでもない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2016.07.18 11:26