実際、火野は何度スキャンダルが発覚し、芸能マスコミの餌食になっても、このスタイルを変えなかった。本人は〈打たれ強いんだ。サンドバッグのように。打ってみてみ、怪我するよってね(笑)〉というが、結果としてこうした態度でいたことで、世間の「火野正平なら仕方がない」という空気をつくり出していった。
もちろん、前述したように「男の不倫は甲斐性」という固定概念が日本には蔓延っているため、男性のスキャンダルに対する世間の目は圧倒的に甘いという問題がある。火野もそうだが、石田純一しかり、不倫が報じられたことはまだないが最近ならばNEWSの手越祐也しかり、“スキャンダルを反省しない”という姿勢が、男性の場合は逆に支持を得ることがあるのだ。
だが、恋愛や結婚、家族観は人それぞれのもの、どんなかたちであってもいいはずだ。火野はどれだけ打たれても断固としてそうした自分の価値観を曲げなかった。しかし、それと同じように、女性が「何が悪い!」と世間の価値に物をぶつけたらどうなるか。確実に芸能界から干されることは火を見るよりあきらかだ。
それでも、女・火野正平が現れないかぎり、社会にある男女の不均等は破れない。だからこそ、女・火野正平の登場を夢見てしまうのだ。
ちなみに、火野は同書のなかで「気になる女性」としてmisonoの名を挙げ、〈misonoさんはかわいいよね、今でも。最近あんまりテレビに出ないな。出てほしいのに〉とラブコールを送っている。目のつけどころがいかにも火野らしくて微笑ましくなるが、火野のような元気な女性タレントの出現を、本サイトは心待ちにしている。
(大方 草)
最終更新:2016.04.30 11:10