■スポンサーへの“電凸”組織化、マスコミに工作員潜らせる計画まで
ひるがえって現在、「視聴者の会」のホームページみると、「ネットボランティア」が募集されており、そこには活動のひとつがこのように説明されている。
〈スポンサー要望ボランティア
放送法違反の報道番組にスポンサリングを行っているスポンサー企業に対して、「企業の社会的責任」の観点から、問合せや要望を行って頂くボランティアです。〉
ようは、小川氏が数年前に計画していたとおり、いま、ネット右翼を結集してスポンサー企業に“電凸”などの問い合わせを殺到させようとしているのである。これは迷惑行為どころか、業務を停止させて要求を飲ませる“タカリ屋”の典型的手法だ。
もうお分かりだろう。小川氏は、こんなチンピラのような計画を第二次安倍政権発足直後から温めていた。そして、それを具現化させたのが「視聴者の会」だったのだ。
さらに小川氏の発言を追っていくと、この“チンピラ団体”の最終目標がはっきりと見えてくる。一昨年、小川氏は日本会議の総会で演説しており、その内容が「日本の息吹」14年6月号に掲載されているのだが、そこでは“ネトウヨ電話攻撃”以上に卑劣な計画がおおっぴらに語られていたのだ。
〈憲法改正最大の懸念は、言ふまでもなくマスコミの改憲反対キャンペーンです。〉
〈私は、正攻法だけでは憲法改正まで持つてゆくのは難しいと思ふ。立派な戦略も必要だが、それよりも作戦が必要だと思ひます。〉
〈例えへば、こんな作戦です。
護憲派の憲法学者と仲良くなること。
自民党の反安倍陣営の皆さんと仲良くなること。
朝日、毎日、東京などのデスクや優秀な記者と仲良くなること。
外人記者クラブのメンバーと仲良くなること。〉
〈我々は敵と思はれる人たちの内部にもぐりこむ工作員になり、敵の内部から味方を見出してゆく必要がある。〉
つまり、安倍政権による改憲を後押しするために、メディアの内部に「工作員」をもぐりこませて、改憲推進の記事を書かせようというトンデモない計画だ。
高市早苗総務相の「電波停止」発言に抗議したジャーナリストたちを「議論から逃げた」などとほざく一方で、はなから議論ではなく、卑劣な脅嚇行為やメディア工作を画策していた小川氏率いる「視聴者の会」。こんな頭の悪いやり方をしておいて、建前では「政治的公平」「論点の多角的提示」などとうそぶいているのだから、もはや目眩すら覚える。
今回、TBSが「視聴者の会」を「表現の自由、ひいては民主主義に対する重大な挑戦」と断じたことは大きなニュースになったが、そろそろ、他のマスコミ各社も、この圧力団体の問題と真正面から向き合い、徹底追及せねばならない時が来ている。このままメディアが“チンピラ言論総会屋”に屈するようでは、日本の民主主義は終わりだ。
(編集部)
最終更新:2017.11.24 09:48