それを、政治学を学んだと公言し、まるで学士を取得したようにプロフィールに書き込むというのは、明らかな学歴詐称。安倍氏は政治家であることを考えると、非常に悪質な詐称といっていいだろう。
しかも、この詐称は、安倍氏側も明らかに自覚していた。週刊誌の取材には「留学の実態はあった」と強がっていた安倍氏だが、報道に前後して、安倍氏のホームページ上のプロフィールからこっそりと留学部分の「2年間」という部分が消え、2016年現在では「米大学への留学」自体の記述まで姿を消している。
もっとも、この安倍氏の疑惑はなぜか大きな問題にならなかった。安倍首相の疑惑が報じられる少し前に、民主党所属の古賀潤一郎衆議院議員(当時)の海外留学に関する学歴詐称問題が発覚。国会で厳しい追及を受けていた。この際、安倍氏は先陣を切って古賀氏と民主党を攻撃、「もし事実なら大きな問題。道義的、政治的責任は重い。当然、辞職に値する」「政党として候補者を公認した責任がある。どう責任をとるべきか指導、処分する責任がある」などとまくしたてていた。
自分のことを棚に上げて、他人を攻撃する習性は昔からだが、衆議院議員を辞職した古賀氏とは対象的に、なぜか安倍氏にはなんのお咎めもなかった。当時は小泉政権下で、今と同じ自民党一強の政治状況にあり、力で疑惑追及の動きをねじふせてしまったのだ。
そして、安倍氏はこの学歴詐称を知らんぷりをして、その後、政界の階段を登り続け、今も日本の最高権力者の椅子にのうのうと居座っている。この厚顔ぶりに比べたら、ショーン氏の方が「文春」の追及に事実を認め、番組を降板しただけ、まだマシというべきかもしれない。
(宮島みつや)
最終更新:2017.11.24 09:04