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松本人志が甘利大臣辞任に「50万のためにTPPどうなんねん、何兆円も大損」と…TPPへの無知と官邸丸乗り体質さらけ出す

 しかし、これ、相当にいい加減な数字なのだ。政府の試算は、貿易政策の分析に用いられる「GTAP」と呼ばれる計算式を使っている。実は、政府は2013年にも、同じGTAP方式でTPPの経済効果を試算しているのだが、この時は10年後に3.2兆円という試算だった。それが、いきなり4倍に膨れ上がっているのだ。しかも、今回は何年後にそれが達成されるのか、まったく明示されていない。

 このGTAPという方式は、もともと貿易自由化に有利な数値が出る傾向が強い上、前提条件を変えることで数字が大きく変動する。14兆円というのは、雇用増を高い数字にしたうえ、農業の生産量がTPP発効後も変動しないとするなどの操作をして、はじき出した数字なのだ。

 実際、東京大学大学院農学生命科学研究所の鈴木宣弘教授(農業経済学)らの研究グループが同じGTAPを使って、政府の偏った条件を是正して試算したところによれば、TPP合意によるGDPの押し上げ効果はプラス5000億円、0.07%にすぎなかったという。

 しかも、農林水産業全体の生産額減少額は1兆5594億円。うち農業は1兆2614億円となり、全産業の生産額減少額は3兆6237億円に上るという。

 つまり、TPPに参加しても、実質GDPプラスは政府試算の28分の1にすぎず、逆に、産業の生産額では3兆円規模のマイナスすら懸念される。こんなものに巨額の税金を投入するというのはほとんど詐欺ではないか。

 付言すれば、TPPは必ずしも、農業や工業の輸出入によって経済界にだけ影響を及ぼすような貿易協定ではない。輸入増によって国内自給率が極端に下がる結果、食の安全性が失われるという問題や、日本の「国民皆保険」制度もTPPによるISD条項の導入で崩壊し、安定した医療を支えてきた薬価の公定価格も自由競争にさらされる可能性がある。そこから導き出されるのは、富裕層だけが良質で安全な食品を手にして高度な医療を受けることができ、それ以外の層は沈黙するしかないという“残酷な未来像”だ。

こうしてみると、TPPは、国益にかなうどころか、逆に国益を大きく損なう可能性が高いものでしかないことがよくわかるだろう。それを松本は政権のヨタ情報を信じ込んで「たかだか50万円で何兆円規模の国益を損なうべきではない」などとエラそーに説教をぶっていたのだから、まったくおめでたいにもほどがあるではないか。

 だが、松本の政治や社会に関する発言は、これまでもほとんどがこういうパターンだ。たとえば、安保法制についても「このままで良いわけがない」「もしこのままで良いと思っているのであれば、完全に平和ボケですよね」などという理屈で賛成していたが、これもまさに、安倍首相、官邸の「国際環境が激変した」とか「南シナ海に中国が進出している」などの情報操作にのせられた結果だった。実際は、集団的自衛権と周辺事態とは無関係で、個別的自衛権で十分対応できるのに、そのこと検証せずにムードで、アメリカのために戦争ができる法律の成立を後押ししたのである。

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