★10位 くるり岸田&アジカン後藤沈黙するアーティストが多い中で安倍の強権政治を鋭く抉りだした二人の知性派ミュージシャン
ジョン・レノンやボブ・ディランの例を出すまでもなく、「ロック」は本来、「平和」や「反体制」のメッセージを体現する音楽。そういう意味では、安保法制に関する問題が噴出した今年は、日本のロックミュージシャンたちがもっとも大きな声でそのメッセージを叫ぶべき年であったと言える。
だが、実際には、商業主義に浸っているミュージシャンたちは、あまり積極的に安保法制反対を叫ぶことはなかった。
そんな中、安倍政権と安保法制にはっきり異を唱えたのが、岸田繁(くるり)と後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の二人。
まず、岸田繁は、安保法案が強行採決された7月15日に「圧政やな」とツイート。そして、続けざまに安倍政権へのアンチテーゼを畳み掛けた。
「侵略戦争こそが非であり、加担は下衆だと胸を張って言おう。ニコ動での首相からのアホアホ例え話聞いて、あれは歴史に残る国民への侮辱だと思いますた」
後藤正文も同じく、安倍政権に対し強烈な怒りを覚えるミュージシャンの一人。彼は「Rolling Stone日本版」(セブン&アイ出版)2015年7月号のインタビューでこんな攻撃的な一言を投げかけた。
「最悪のタイミングで、最悪の人が総理大臣になっていると思います」
では、なぜ、安倍のような人間が一国のリーダーに居座る状況が生まれてしまったのか、後藤は以下のように分析している。
「世の中の一般的な人たちって、大きな変革がものすごく好きなの。破滅願望と似ていて、『何か起きねぇかな』みたいな想いの裏返しですよね。すごいリーダーが現れて、俺たちの社会をバラ色にしてくれるんじゃないかっていうような。そういう願望が、安倍(晋三)さんとか橋下(徹)さんみたいな人の登場を担保しているわけなんですよ。だけど、みんなの願望と実情が上手く噛み合うことはない。」
ちなみに後藤はリテラにこの発言を紹介されたことがかなり迷惑だったようで、SNS ではリテラ批判もしていたが、やはり素晴らしい発言なので、紹介しておく。
それはともかく、岸田も後藤も、インタビューやSNS上の発言だけでなく、楽曲でも、このような社会的トピックを歌詞にしてきた人たちだ。今後も炎上に怯まず、この国で起きていることを言葉にしていってもらいたい。