第二次性徴を迎え、「男」の体に変わっていってしまった分岐点まで戻ってやり直したい。この汚い「男」の体を捨ててキレイな女の体に生まれ変わってみたい。そんな「自己否定」の考えを抱くことで、「制服」に強いフェティシズムをもつ男が生まれるというのが、森岡氏の分析である。
しかし、その結果、高橋のように犯罪に走ってしまう者も少なくない。森岡氏は、「制服」にフェティシズムをもつ男たちがそれを克服するための方法も提示している。
〈「自分の体は汚い」という意識を、ゆっくりと溶かしていくことが必要だ〉という。そのためには〈「自分の体は汚い」という意識が、どこから出てきているのかを、それぞれが分析してみることが必要〉だ、と。
森岡氏は、〈夢精の体験を肯定できなかったこと〉が「自分の体は汚い」と認識してしまったきっかけだと語っているが、人それぞれ色々な理由があるだろう。体毛が濃いことだったり、体臭がきついということだったり、その「自己否定」のきっかけは個人個人で違うはずだ。
自己分析を重ねることで、第二次性徴を経て自分の体に備わってしまった「コンプレックス」を解明させ、そして、自分自身の体を、ありのままに「肯定」してあげること。遠回りなようだが、ねじまがってしまった性的嗜好を変えるには、それしか方法はないのである。
もちろん、こうした森岡氏の分析がそのままキンコメ高橋にあてはまるかどうかはわからない。しかし、その犯行の内容を考えると、少なくとも、彼の心理の中に〈学校〉への憧憬や〈コンプレックス〉が潜んでいる可能性は高い。
再犯を防ぐためにも、高橋はしっかり自分と向き合う必要があるだろう。
(本田コッペ)
最終更新:2016.08.05 06:42