曽野センセイも嘘だと言ってくれればいいのに……(『人は怖くて嘘をつく』曽野綾子/扶桑社)
パリ同時多発テロで日本国内の右派が小躍りしている。
たとえば、先日本サイトは、日本会議が主体となる1万人集会に安倍首相がビデオメッセージを寄せ、改憲への意気込み語ったことを伝えたが、パリ同時多発テロ発生後、その日本会議の会長・田久保忠衛の鼻息が荒い。
〈いつもながら、テレビの解説を目にしてうんざりした。中東専門家による、パリの惨劇は米仏などのIS空爆が原因との説明だ。テロには妥協の余地は全くない。9.11事件に見られたように北大西洋条約機構(NATO)は集団的自衛権の行使に踏み切り、米国を引きずり込まないと事態はさらに深刻になる。国際社会の総力による対決だ。それにつけても、戦後続いている日本の非力はますます鮮明になってきた。〉(産経新聞11月20日付「正論」より)
ようするに、パリ同時多発テロをきっかけにして、集団的自衛権を絡めた有志連合による“対テロ戦争”を扇動。さらに「戦後続いている日本の非力」を強調し、右派の悲願である改憲と軍国化へ繋げようと躍起になっているのだ。
他にも、中国・韓国へのヘイト本を多数執筆していることで知られる評論家の石平が、仏オランド大統領が憲法改正の方針を示したことを引き合いに出して、〈それに比べて、憲法の一条文を守ることだけを至上命令とする日本の一部政党と政治家はどれほど愚かで無責任なのか〉(18日、自身のツイッター)と国内の護憲派を批判するなど、当面、右派によるこの手の攻撃は続くだろう。
もっとも、こうしたレベルの言説は容易に予想できたことでもあるし、実際に過去の記事でそう予言してきた。だがしかし、そんな本サイトですら「さすがにここまでとは……」と絶句せざるをえない保守派の重鎮がいた。そう、ご存知、曽野綾子大センセイである。
このたび、曽野センセイが衝撃のトンデモ論をぶっ放したのは、産経新聞18日付紙面。今年2月にもアパルトヘイト肯定論を披露した連載コラムでのことだが、またぞろ得意の移民排斥か?と思いきや、そうではなく、むしろ今回はさらに斜め上をいく“アクロバット放言”だった。