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「安保法案は野蛮な人の思考」自由をこよなく愛する蛭子能収が再び強烈な安倍政権批判! そして賭博擁護(笑)

 といった具合に、なんだか蛭子さんのことが格好よく見えてくるぐらい毅然とした発言の数々だが、単純にそう思わせてくれないところも、蛭子さんの蛭子さんたる所以である。本のなかでは、本稿で紹介しているような格好いいことばかり言っているわけではない。

 たとえば、「賭博」に関して。蛭子さんが「自由」と「命」を守りぬいて何がやりたいのかといえば、もちろん「競艇」である。本のなかでもいたる所に競艇の話が出てくる。ひょっとしたら、本業である「漫画」の話より多いかもしれない。しかも、賭け事に関する法律(刑法185条)に関するくだりでは、〈大きな声では言えませんが、僕はわけあって麻雀は控えていますけど……〉と前置きしながらも、こんな言葉を綴る。

〈ビール一杯とか、タバコ一箱といった少額のものを賭けるのは法律上セーフらしいのですが、お金を賭けるのは大小にかかわらず、「賭博罪」になってしまう。
 抜き打ち捜査のような感じで捕まる人がいる一方で、ほとんどの人は当たり前のようにそれを続けています。どう考えても、この法律はなんだかおかしい〉

 98年に麻雀賭博で現行犯逮捕され、タレント活動の自粛を余儀なくされたというのに、蛭子さん全然反省してないよ! そして極めつけはこんなエピソード。なんと、蛭子さん、孫の名前を覚えてないらしい。

〈先日、息子の嫁にひどく怒られました。孫の名前を覚えていないという話を、僕があちこちでしていたものですから、「お義父さん、それはちょっとあり得ないですよね」って咎められまして。たしかに、それは怒りますよね。なので、僕も嫁に素直に謝った。ただし、謝ったからといって、すぐに孫の名前を覚えられるわけではないんですよ。いまだにちょっと、うろ覚えなところがありますから〉

 普通は自著にわざわざ書かないであろうこんな「本音」を書けるのも、いまの日本にはかろうじてまだ蛭子さんの愛する「自由」が残されているから。しかし、国民の声を一顧だにせず安保法制を通してしまうような人間がトップにいる状況が続く限り、その「自由」が奪われてしまうのは時間の問題。争いごとは大嫌いな蛭子さんだが、「自由」を守る「闘士」として、これからも、「自由」を壊す者らへのアンチテーゼを唱え続けて欲しい。
(新田 樹)

最終更新:2015.11.15 11:04

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