これに関して、TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』が、10月22日の放送で猪口氏に直撃。荻上チキ氏によるインタビューに対し、猪口氏は封筒送付の事実を認め、書籍の内容についても目を通していると語った。
その弁をまとめると、アメリカで活動している影響力・発信力のある有識者やメディア関係者の“少なくとも100人以上”に対し、「自民党の議員として」また「献本というかたちで資料として」送ったという。「自民党の部会などでの決定を通したものではない」が、一方で、党内では「常時意見交換」しており「自民党の議員の連携のなかで」「対外戦略発信」として行動した、という言い分だ。
さらに、書籍はどのように入手したものなのか、郵送料等は猪口氏の私費なのか自民党の公費なのか、という疑問について、猪口氏は「寄付されたもの」だとしたが、版元からか個人からかについては「明らかにする必要はない」と説明責任を放棄。同様に、郵送等にかかる金額についても、「明らかにするべきじゃないと思いますね。ええ、えへへ」と笑いながらごまかし、最後まで説明しなかった。
その受け答えからして、今回の事案は、与党・自民党による“歴史修正プロパガンダ”の「対外戦略」のひとつであることは間違いないだろう。資金源についても、猪口氏の言うように、寄付だとしたら、100人に送ったとしても書籍だけで30万円以上相当の金額にあたり、寄付者の氏名などを政治資金収支報告書に記載する義務がある。それを「明らかにする必要はない」などとごまかしているのを見ると、やはり自民党の金で行なっている可能性は高いのではないか。
いずれにせよ、この戦略は海外からも明らかに“恥知らずの安倍政権”として映ったようだ。
事実、今回の件について、オーストラリア国立大学教授のテッサ・モーリス=スズキ氏は、「Historical revisionism undermines Abe’s apology」(直訳:歴史修正主義は安倍の謝罪を傷つける)と題し、前述の2冊『なぜ「反日韓国に未来はない」のか』『歴史戦』の内容も含め、こう論評している。