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これでTPPに合意するのか!?「日本の農家は過保護」は嘘、欧米の方がはるかに自国の農業を保護していた

「アメリカをはじめとする輸出国は食の競争力があるから食の輸出国になっているのではなく、国をあげての食料戦略と手厚い農業保護のおかげである。例えば、それが端的にわかるのがコメである。アメリカのコメ生産費は、労賃の安いタイやベトナムよりもかなり高くなっている。だから、競争力からすれば、アメリカはコメの輸入国になるはずである」

『食の戦争 米国の罠に落ちる日本』(鈴木宣弘/文藝春秋)によれば、米国には、輸出販売を促進するために、より安い価格で販売することが必要だと判断し、安い販売価格と農家に必要な価格水準(目標価格)との差額を不足払いする制度や安く販売した場合の返済免除の仕組み、常に一定額の補助金として上乗せして支払われる固定支払いがあり、「安く売っても増産していけるだけの所得補填があるし、いくら増産しても、海外に向けて安く販売していく『はけ口』が確保されている。まさに、『攻撃的な保護』(略)である。この仕組みは、コメだけでなく、小麦、トウモロコシ、大豆、綿花などにも使われている。これが、アメリカの食料戦略なのである」。

 これは、明らかに実質的な輸出補助金だ。

「このような実質的な輸出補助金額は、アメリカでは多い年では、コメ、トウモロコシ、小麦の3品目だけでも合計で約4000億円に達している」。このほかの輸出信用や食料補助の仕組みと合わせれば「約1兆円の実質的輸出補助金を使っている」というのだ。輸出補助についてはWTOルールで撤廃するよう命令しなければならない。2013年には一部は廃止されたが、いまだにその多くは維持されている。今回のTPPの大筋合意にいたる交渉でも、多くが秘密のベールに包まれているが議論された形跡がない。

「輸出補助金は、『輸出に特定した』(export contingent)支払いであるから、この場合は、輸出に特定せずに、国内向けにも輸出向けにも支払っているので輸出補助金にならないというのである」(同書より)

 こうした食料戦略はアメリカだけではない。欧州諸国も同様だ。

「農業経営に関する統計に基づいて、農業所得に占める政府からの直接支払い(財政負担)の割合を比較すると、日本は平均15・6%ほどしかないが、フランス、イギリス、スイスなどの欧州諸国では90%以上に達している。アメリカの穀物農家でも、年によって変動するが、平均的には50%前後で、日本とは大きな開きがある」

「日本の農業は過保護だ」という日本の政治家やメディアはこの点についてはまったくふれない。安い商品こそが善という新自由主義的で、デフレを招く発想に毒されているのだ。

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