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ライムスター宇多丸やECDが語るSEALDsの革新性…彼らは新しいシュプレヒコールをつくりだした!

 そして、SEALDsがデモ活動における「言葉」と「演出」の改革において、もうひとつ特筆すべきはデモにおける「スピーチ」だ。SEALDsのデモでは、メンバーがスピーチを行うが、そこで使われる言葉も、これまでの活動家が使ってきたような型にはまった言葉ではなく、個人の体験などに基づいた血肉の通った言葉であり、これまで社会運動の場でとられたものとはまったく異質な表現方法であった。

奥田「どういうスタイルがいいかって考えて、源一郎先生にも相談しに行きましたよね。コールばっかりも嫌だなと思って。これまでも同じことを同じ形で、ずっと言い続けてるから。「九条守れ」とか。普遍的な言葉なんだけど陳腐になっちゃってて、「またその言葉か」って思われがちかなって」
高橋「そういえば、そういう話をしたよね」
奥田「「個人的な言葉が大事だよ」って言ってもらって。それでコールも日常的におもしろいと思ってる言葉じゃないとって」
牛田「すごい影響受けたよね」
奥田「で、コールだけじゃなくて、半分はスピーチだったらいいかもなって。そのときからみんなiPhoneでスピーチを読むようになった」(前掲『民主主義ってなんだ?』より)

 また、そのスピーチ演出も、これまでとは全く違う、若者世代ならではのものであった。

高橋「デモやりながら、サウンドカーの上でスピーチ。これは新しいスタイルだったよね。誰が考えたの?」
奥田「いろいろ見て。けっこう海外のスピーチは参考になりました。チャップリンのスピーチとか。海外じゃないけどいとうせいこうさんとかも、半分音楽みたいな感じで。あと、キング牧師のスピーチもすごいリズムがついてる。何回も韻を踏んだりとかリフレクションがあって。俺ら的には「やってることがヒップホップだ!」みたいな(笑)」
牛田「これ、コール&レスポンスじゃん!」って」
(中略)
奥田「日本語のスピーチは上手い人があんまいないんですよ」
高橋「そうだね。あとね、日本語はそういうスピーチに向いてないんだよね」
牛田「そう、強い主張に向いてない」
奥田「それをいかに演出するかっていうときに、ヒップホップのサウンドだろうって。二人ともラップの中でもポエトリーリーディングっぽいのがいいなって話になった。ブルーハーブみたいな」
牛田「あと不可思議/wonderboyって人」
奥田「Shing02とか」(前掲『民主主義ってなんだ?』より)

 ブルーハーブ(THA BLUE HERB)もShing02も、90年代後半から日本のアンダーグラウンドヒップホップシーンでカルト的人気を保ち続けている日本語ラップ界のビッグネーム、そして、不可思議/wonderboyは、2011年、24歳の若さで夭逝してしまったポエトリーリーディング界の若き俊英。谷川俊太郎との共演などでも知られているラッパーだ。SEALDsの面々は、「自分の言葉」で文章を綴りながら、ヒップホップの話法に影響を受けスピーチを行った。

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