だが、実はこの集中協議、政府側は沖縄側の意見をまともに取り合わず、ようは “話し合いはしたね? じゃあ辺野古埋め立て再開するんでよろしく”と言わんばかりの一方的なものだったという。というのも、協議後の記者会見で、翁長知事が政府側の不誠実過ぎる対応の内幕を暴露しているのだ。
「沖縄タイムス」が掲載したその詳細のなかで、翁長知事が政府閣僚たちとのやりとりを振り返って、つぶさに語っている。まず、中谷防衛相とのやりとりは以下のようなものだったという。
「中谷元・防衛大臣から、海兵隊の抑止力、抑止力というのは海兵隊の機動力、即応性、一体性、これがあって初めて機能するので、沖縄に置くべきなんだという話がありましたから、私は前にも申し上げましたけれども一体性と機動性と即応性は岩国だったり佐世保だったりハワイだったりグアムだったりで分散されていて、それは意味がございませんよ、と」
「それからもう一つは、いまミサイルが発達していますので、沖縄は近すぎて危ないんだと私が言った時に、ミサイルにはミサイルで対抗するとおっしゃった時には、私は心臓が凍る思いがしました、と。沖縄を領土としてしか考えてないんじゃないか。140万の県民が住んでいるということに、ご理解がなかったのではないかと」
実際、海兵隊はさまざまな場所に点在していて「一体性」がインチキだと言うのはとっくにばれている話なのに、中谷大臣は相変わらず嘘をつき続けていたらしい。しかも、「ミサイルにはミサイルで」というのは、沖縄をたんなる“防衛前線”としかみなしていないということだ。まるで戦中、沖縄が本土決戦の“捨て石”とされた構図と同じではないか。
続いて、岸田外相とのやりとりでは、いかに沖縄が日本、米国両方に軽視されているかが明かされている。翁長知事は今年6月の訪米で米国務省の部長らと会談し、普天間基地の辺野古移設反対の意を伝えるも、米側から「日米合意をもとに移設計画を進めることが唯一の解決策」と一蹴されたが、そのときの“内幕”をこう暴露したのだ。
「(米上院軍事委員会の)マケイン(委員長)さんとかリード(筆頭知事)さんとか、アメリカのワシントンDCに行っていろいろ話をしようとする時に、全員が紙を読み上げるんですね。全員が紙を読み上げて同じセリフを言ってからの会話でありましたので、これは佐々江(賢一郎)日本大使も向こうで話をしましたら、同じ返事だったでしょう、という話がありましたので、同じ文書を回したんじゃないですか、と。ケネディ大使も同じようなことをここに帰ってきてお会いしたらやっていましたので、(岸田外務相には)これは外務省としてはどうでしょうかね、という話もさせていただきました」