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合唱コンクール課題曲を生んだセカオワSaoriのいじめ体験…ランドセルに死ねの文字、そしてFukaseの救い

 特にその動向が注目されるのが、ボーカルのFukase。きゃりーぱみゅぱみゅとの交際や精神科病院の閉鎖病棟に入院した過去をオープンにしたり、生と死をテーマにした詩を手掛けたり、彼の作詞ノートに「魍魎(もうりょう)、虚時間」と厭世観が感じられる漢字がビッシリと書かれていたりと、「中二病」の要素が話題になることも多い。

 しかし、Fukase以上に繊細な性格なのが、ピアノを担当するSaoriだ。彼らのインタビュー集『SEKAI NO OWARI 世界の終わり』(ロッキング・オン)に収められている単独インタビューからは、自分を持て余しているSaoriの孤独や戸惑いが伝わってくる。

 Saoriがいじめられっ子で、中学に入ってからはヤンキーになったというのはファンの間でもよく知られている話。ランドセルに「死ね」と書かれたり、友人になろうとプレゼントを送ったのに突き返されたり、靴に画びょうをいれられたり、トラウマになるような被害に遭っているのだが、本人が「気が強かった」というように、弱いところを見せずに学校へ通い続けた。その内面では、「とにかく誰かが悪いと思っちゃう。自分にこんな悪い点があるから、そこを改善してみようっていう冷静な自分なんか微塵もいない」状況だったという。いじめられている現実を前にしたら、誰もが自分以外に理由を見出そうとしてしまうのではないだろうか。しかし、彼女はいまなお自分自身の性格や被害妄想に悩まされ、それがいじめの原因だったのではないかと苦悩しているのだ。

「(今は)リア充じゃんってみんなは思うかもしれないけど。かなり自分を冷静に見ていて、それが被害妄想だってわかってるにもかかわらず、暴走してわけわからなくなるみたいのが、もう4歳ぐらいからずっとあって。そことの距離感をずっと探してる感じ。でも小さい時はそれがわからないから、とにかくワガママ。だから友だちもできない。なんで泣いているのか、なんで怒っているのか周りもわからない。でも自分の爆発する感情を抑える術が全くわからないから」

 さらにヤンキーになったのも、「友だちが欲しかった」にもかかわらず、「正攻法でいってもダメだと思って」と語る姿に、彼女の不器用さが垣間見れる。

 高校に入ると、ピアノに携わる仕事に就くという目標のためにピアノに打ち込んだせいか、友人への執着が薄れ、「完全に人類への興味を失うんです」「友だちなんて永遠にいらないと思っていたし」「深く考え始めると優越感に浸るみたいなところもあったかもしれないけど、人とわざわざ合わせる必要がないってことがわかったから」と、中二病ともいえる思春期特有の孤独への憧れや自己愛が肥大化していく様子がうかがえる。

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