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「甲子園がサバンナに」高校野球でスポーツ報知がアフリカ系ハーフのオコエ選手を人種差別! 根底にある偏見とは

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「高校野球ドットコム」インタビュー記事より


 夏の甲子園で連日球児たちが熱戦を繰り広げているなか、マスコミが水を差した。スポーツ報知が今月12日付紙面で、関東第一高校のオコエ瑠偉選手の活躍について、偏見と差別を助長する表現を用いたことが物議を醸しているのだ。

 プロスカウトも注目するオコエ選手は、ナイジェリア出身の父を持つ強肩俊足の好外野手。だが、報知はハーフのオコエ選手をアフリカの野生動物に喩えて、このように書いた。

〈真夏の甲子園が、サバンナと化した。オコエは本能をむき出しにして、黒土を駆け回った〉
〈野性味を全開〉
〈味方まで獲物のように追いかけた〉
〈ヤクルト・小川シニアディレクターは「本能を思い切り出す野獣のようだ」。ロッテ・諸積スカウトは「ストライドが長い。ヒョウみたい」。スカウト陣からは野性的な賛辞が続出した〉
〈飢えたオコエが、浜風をワイルドに切り裂く〉

 この明らかにオコエ選手の活躍とアフリカ系の出自とを結びつける記事に、ネットでは「アフリカ出身の父を持つだけで動物扱いかよ」「レイシズムの見本市」「気が利いたこと言おうとして無自覚な差別意識がダダ漏れ」と批判が続出。

 さらに、高校2年生ながら今年の世界陸上代表に最年少で選ばれたサニブラウン・アブデル・ハキーム選手(父親がガーナ人)の母親も、ツイッターで問題の記事をリツイート。〈子ども達を大人の興味本位の対象にするメディアに断固抗議します!そしてこの表現は明らかに人種差別〉と、強く批難した。

 現在、報知新聞社は、こうした声を受けてウェブ版の該当記事を取り消しているが、それにしても「サバンナ」「野性的」という表現からは、“ナイジェリア人は未開の地で生活していて野蛮である”というような記者の偏見丸出しのイメージが透けて見える。しかし実際のナイジェリアは、都市部には高層ビルが立ち並び、なかにはアフリカ有数の大都市ラゴスのように急成長を遂げている大都会もある。そもそも、オコエ選手は東京生まれの東京育ち。「サバンナ」とは何も関係がない。記事の削除は当然だろう。

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