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安倍首相の戦後70年談話は本当に「お詫び」があったのか? 山谷えり子と語っていた談話への本音

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衆議院議員 安倍晋三 公式サイトより


 ついに注目されていた安倍首相による戦後70年談話が発表された。当初は強気だった安倍首相も、安保法制に対する世間の“反安倍”の風向きには耐えられず、村山談話を引き継ぐように「植民地支配」「侵略」「お詫び」「反省」という文言を入れた。

 だが、だらだらと長い談話ゆえに誤魔化されそうになるが、それらの重要キーワードは、ただ散りばめられただけにすぎない。

 たとえば、「侵略」について。安倍談話は「事変、侵略、戦争」とひとまとめにし、「我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」と言った。これでは、これまでの談話を紹介しただけで、安倍首相自身は「お詫び」の言葉を口にしていない。「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と表明した村山談話と比較するまでもなく、結局、何も謝っていないのだ。

 現に、談話発表後の質疑応答では、東京新聞の記者が2009年に月刊誌で行われた対談で安倍首相が語った「村山談話以降、政権が代わるたびにその継承を迫られるようになった、まさに踏み絵だ」「村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない」という発言を突きつけ、「その発言と今回の談話の整合性を説明してください」と質問した。これに対して安倍首相は「村山談話は全体として引き継ぐとこれまでも繰り返し申し上げてきた通り」と、答えになっていない答えを返した。

 この記者が引用した安倍首相の発言とは、「正論」(産業経済新聞社)09年2月号の山谷えり子との対談だ。じつはこのとき、安倍首相はこうも語っている。

「侵略という言葉にしても、いつの間にか政府見解として定着してしまいましたが、実は村山談話以前、政府は侵略という言葉を使っていないんですね」
「村山談話があまりにも一方的なので、もう少しバランスのとれたものにしたいという思いもありました」

「侵略」という言葉を使うのは偏っている、つまり「侵略」行為を安倍首相は認めていないのだ。そのため、安倍首相は「村山談話に換わる安倍談話を出そうとしたのだが…」と言うが、98年に中国の江沢民国家主席が来日した際に発表された日中共同宣言に“日本は村山談話を遵守する”という文言が組み込まれており、「一方的に反故にすることは国際信義上出来なかった」(安倍氏)。そして、山谷氏に対して、そのときの悔しさをこう吐露している。

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