小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

なぜ? リベラルの星・池上彰が韓国特番でネトウヨ、嫌韓本そのままのヘイトデマ解説

 また、「大韓民国臨時政府」は日中戦争が始まった後の1941年12月9日、対日宣戦布告をし、アメリカ戦略事務局と協約を結んで特務工作訓練も受けるなど、連合国と共同歩調をとっていた。

 ところが、池上はこれらの事実をすべて無視。こんな論理で、「大韓民国臨時政府」を記述している憲法が「建国神話」だと攻撃するのだ。

「(韓国は)自ら戦って国を創ったのではなくて、日本が戦争に負けて、朝鮮半島から引き揚げた後に、国が創られたわけでしょ。ある種、棚からぼた餅式に国ができちゃった。自ら戦って国を創ったという歴史がないところに引け目を感じているんではないか」
「たとえばどこかの国と戦って独立を果たした、ということであれば、プライドもありますし、誇っているわけですよね。わざわざどこかの国を悪く言う必要がないですよね。それがないもんですから、『反日』というところに、国の基準を置いている部分がある」

 ここまでくると、もうイチャモンとしか思えない。何度も言うが、韓国の憲法前文には「反日」に基準を置いていると受け取れる記述はない。終戦後、朝鮮では独立、建国をめざして、さまざまな団体、勢力が立ち上がったが、「大韓民国臨時政府」はむしろ、呂運亨らの「朝鮮建国準備委員会」や右派の金九らの勢力などよりもずっと反日色が薄かった。そして、「大韓民国臨時政府」が前面に出てきたのは、反日が理由なのでなく、もっとも反日色の薄い李承晩が権力を握ったからにすぎない。

 池上はこんな初歩的な大韓民国建国前夜の事情もすっとばして、「韓国は反日」「韓国は嘘つき」という勝手なストーリーをつくっていくのだ。

 韓国憲法前文に反日の記述(ほんとうはそんな記述はない)⇒臨時政府は実体がない(ほんとうは実体があった)⇒韓国は自分で日本と戦ってないから引け目がある(ほんとうは抵抗運動をやっていたし、宣戦布告もしていた)⇒臨時政府の名前を使って反日の建国神話をでっちあげた(ほんとうは臨時政府が一番反日色が弱い)

 なんだろう。この最初から最後まで確証バイアス丸出しの、ネトウヨっぽい陰謀史観は……と思っていたら、実はこれ、ネトウヨたちがネット上で韓国ヘイトのために書き込んでいる論理そのままなのだ。

 でも、一応、何か彼らにも根拠があるのかもしれないと思って調べてみたのだが、こういう論理や史実を主張している権威ある歴史学者はついぞ見つけることができなかった。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する