「週刊女性」のインタビューによると、水越は13年6月、学校から帰宅する際に2人のヤラカシに追いかけられ、「なんでウチらを無視するの?」とかばんや服を引っ張られたという。止めるように頼んでも何度も繰り返される行為に、「思わず足元の石や砂利をつかみ、1人の人に投げつけて、そのまま振り返らず自転車で全速力で帰宅した」と振り返っている。
しかし騒動はこれだけでは終わらない。ヤラカシの1人が水越の投げた石によりケガを負い、水越は警察に連行されることに。その後、水越と負傷者の間で示談が成立したが、それ以来、ジャニーズ事務所から連絡が来ることはなく、アイドルへの道を閉ざされたという。
「週刊女性」は水越の独占告白なため、水越が自分の都合の良いように話している可能性もある。しかし、そうした事情はすっ飛ばして、ファンたちは「ヤラカシのせいで水越は未来を潰された」としてヤラカシに批判の矛先を向けた。だが、普通に考えれば、ファンが暴走したなら事務所がタレントを保護すべきで、事務所の管理責任を問われる事案だ。だいたい、いくら迷惑行為を受けても、石を投げつけるというのは立派な傷害事件なのである。
だが、昨年4月に「週刊文春」(文藝春秋)が報じた、ジャニーズJr.の岩本照が駅のホームでファンに暴力をはたらいたという件でも、同じようにヤラカシ批判が巻き起こった。このとき、女性ファンは手術が必要なほどの大けがを負っているにもかかわらず、その後ファンがヤラカシで、Twitterで「暴力ふるわれなさすぎてちょっと寂しい」「わたし以外に暴力振るってんのとか本当嫉妬しちゃうし」といった発言を繰り返したことが判明すると、一転、「ヤラカシが悪い」と岩本に同情的になり、非難の声は女性ファンに集中した。
しかしこの件も、たとえ追っかけのマナーがなっていなかったとしても、それだけで大けがを負わせていいはずがない。さらに、こうした未成年タレントの暴行事件が起これば事務所が社会的責任を追及されるものだが、ジャニーズは事件を隠蔽し、スポーツ紙や出版社に圧力をかけて事務所批判を封じ込める。通常ならばタレント本人や管理者である事務所が責められるはずなのに、ジャニーズという圧倒的権力を前にはそうした批判自体が起こらない。そのため、このような女性ファンだけを責め立てる論調が生まれてしまうのだ。
また、ヤラカシとは言えないが、昨年6月には、山下智久と関ジャニ∞錦戸亮、元KAT-TUN赤西仁が、六本木で一般人の携帯電話を強奪するという事件が発生した。のちに被害者が「週刊ポスト」(小学館)に語ったところによると、3人に遭遇した被害者カップルが思わず名前を叫んだところ、錦戸が「こいつ、やろうぜ」と激昂したという。暴力を恐れたカップルが携帯電話で一連の様子を動画撮影していると、それに気づいた山下がデータを消すように強要。指示に従ったものの、そのまま山下は携帯電話を持ち去ったという。その後、山下が書類送検されたのだが、このときも「被害者がいきなり動画を撮ったのが悪いのでは?」「有名人だからといって、プライベートを邪魔される権利はない」と、3人に同情が集まるかたちになった。