柳澤氏の憤りの原点は、こうした安倍政権の“いい加減さ”にある。
本来、徹底的にリアルで現実的でなければならない安保政策が「アメリカを助けなければ日米同盟は崩壊する」「他国がやれることを日本がやれなくていいのか」といった抽象的かつ情緒的な、理屈にもなっていない理屈で決定しようとしていることが問題だという。
そこには軍事的常識からも戦略的考察からも整合性がなく、真の政策目標がどこにあるかもわからない。何のため、どんな目的を達成するために集団的自衛権が必要なのかもわからない。そんな曖昧なことのために自衛隊員の命を危険にさらしていいのか、ということだ。
それにしても、いったいなぜ、安倍首相は、国民や自衛隊を危機にさらしてまで、集団的自衛権を強行し、こんな非現実的な安保政策を推し進めようとしているのか。柳澤氏はそれについても驚くべき分析をしている。その点については後編で紹介しよう。
(野尻民夫)
最終更新:2017.12.19 10:18