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川崎中1殺害事件も? 凶悪不良少年グループを生み出したものとは…

 兄妹はその後、児童擁護施設に入る。そこで毎日顔を洗うことや磨くこと、風呂に入ることを初めて知ったという。育児放棄を受けていた兄妹はそんな習慣さえ知らなかったのだ。しかし、ここも弱肉強食の世界だった。上級生から殴る蹴るの暴行を受け、パシリとして万引きをさせられ何度も補導された。そんな龍真は中学時代からスクーターで金属バットを握りひったくりを繰り返す。

〈劣悪な家庭環境のなか、路上に放り出された少年たちがまずやるのは、決まって空腹を満たすための万引きだ。これが被害者が加害者に転じる分岐点。あとは恐喝に引ったくり、強盗……どんどん後戻りできなくなる〉

 その構図を著者は“戦後の戦災孤児”と変わらないと指摘するが、龍真もまた、中学卒業後、襲った被害者を大けがさせたことで、15歳のときに逮捕され、少年鑑別所から少年院に送られた。そこにも母親は一度も顔を出すことはなかった。

 そして、この処分についても “親”や“保護者”の存在が影響する、と龍真は言う。

「不公平だなって思いましたね。ある程度、親とかがしっかりしてるヤツはそもそも(少年院まで行かず)鑑別で抜けるし、少年院に来ても保護観察つけて早めに出てけるんですよ」

 しかし、龍真にはそうした保護者が不在のため、満期まで少年院にいるという処置がなされた。

 幼少期から親に保護されることもなく、施設でも殴られ続け、罪に対する処分でも “差別”される──。そんな龍真が、本格的な犯罪を行うのはその後だ。少年院で同じ歳の少年3人と出会い、意気投合した。この少年たちもまた親から根性焼きを入れられ、背中に火傷のケロイドを作られるという境遇だった。

 4人は2年間の少年院を経て、グループで犯罪を侵し大金を手に入れていく。そのコンセプトは“脱地元”だ。

「散々カスられた地元の先輩たちの縛りから抜け出し、あわよくば自分たちを縛り続けた先輩たちもタタいてやる」
「地元の友達と派手になんかやったら、絶対“上”がカスってくるんですよ。だったら俺らはフリーダムでやろうって」

 さらに、少年院で作った別の人脈も構築し、大手家電量販店の倉庫荒らし(ゲーム機やiPadの窃盗)、不良狩り(現金や大麻の強奪)、事務所荒らし(詐欺等を手がける事務所の金庫破り)などを次々と繰り返し、その金を使って豪遊していく。ヤクザなどの“ケツ持ち”もなく、だ。

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