●オカルトらしからぬオカルトの流行、そして一般レベルへの浸透
もちろん、これら3つのトピックスすべてにおいて、ホラー的・オカルト的・民俗的な「暗さ」を前面に出している訳ではない。むしろ、それらをポップに換骨奪胎するというバランス感覚に長けていたからこそ、大衆にヒットしたのだと言えよう。ただ、「大衆向けに明るく作り変えたからウケた」という側面を逆から見れば「根底にオカルト的暗さを持つものがウケた」とも言えるのである。
もしかして今年は、「オカルト」が復権しただけでなく、一般レベルにまで浸透してきたことを象徴する年なのではないだろうか?
ここ最近、80~90年代の雰囲気と似たところがあるとは、先ほど述べた通り。あのオカルトが無邪気で幸福だった時代を終わらせたのが、「最終戦争」系オカルトを負の面で突き詰めてしまった「オウム事件」である。事件のショックによってオカルト・宗教全般に対するアレルギーが起こり、冬の時代が始まった。それに入れ替わるかたちで、自己啓発・スピリチュアルといった、一見オカルトらしからぬオカルトが流行していく。その一つのシンボルである舩井幸雄が逝去したのが今年始めのこと。あらゆるトピックスが時代の転換を示しているのではないか……。
と、陰謀論のように様々な事象を繋げてしまったが、なんにせよオカルトの享受のされ方が変わりつつあるのは事実だろう。来年以降の日本および世界で、その揺り戻しがくるのか、それとも一層オカルト受容が進んでいくのか、注目したいところだ。
(吉田悠軌)
最終更新:2018.10.18 05:21