『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄/文春新書)
1位:三井住友フィナンシャルグループ、2位:ソフトバンク、3位:みずほフィナンシャルグループ、4位:三菱UFJフィナンシャル・グループ、5位:みずほコーポレート銀行
これらは、2013年3月期の税金の負担率が低かった大企業の上位5社だ。通常、企業の所得に対してかかる法人税、法人住民税、法人事業税の合計の割合「法定実効税率」は決まっており、2013年事業年度は一律38.01%(資本金1億円超の場合)だった。
しかし、すべての企業が単純に利益の38.01%の税金を払うわけではない。各社は租税特別措置による優遇税制や国際的な節税スキームを駆使することなどにより、課税べースである課税所得を大幅に縮減させている。このため、実際に払っている税金は想像以上に少なく、その実際の負担割合である「実効税負担率」は名目の「法定実効税率」38.01%の何分の一、何十分の一という企業も少なくない。
たとえば、税負担率の低い大企業1位の三井住友フィナンシャルグループは税引前純利益1479億8500万円であるにもかかわらず、法人税等支払額はなんと300万円。実効税負担率は0.002%にすぎない。
また、税負担率の低い大企業2位のソフトバンクは税引前純利益788億8500万円をあげながら、法人税等支払額は500万円。実効税負担率は0.006%。
他にも、税負担率の低い企業は有名企業が目白押しだ。冒頭であげた三井住友やみずほ、三菱UFJといった金融系の大企業のほかに、7位にはカジュアル衣料品のユニクロを手掛けるファーストリテイリングが名をつらねているが、同社の税引前純利益756億5300万円に対して、法人税等支払額は52億3300万円で実効税負担率は6.92%。8位はプロ野球チームも所有する金融サービス会社・オリックスだが、税引前純利益1725億1800万円であるにもかかわらず、法人税等支払額は210億100万円で実効税負担率は12.17%である。
こうした事実を明らかにしたのは『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄/文春新書)。中央大学名誉教授である著者は「税の専門家」として、企業負担が軽すぎる日本の税制の不公平さを指摘してきた。
「大企業がこれらの税金を支払っていれば、消費税を増税するどころか、そもそも消費税の導入さえ必要なかったでしょう。日本の財政赤字もこれほど巨額にならなかったと私は考えています」(同書より)
こうした優遇を受けているにもかかわらず、さらに、経済界や大企業の経営者たちは「国際競争に打ち勝つために法人税減税が必要不可欠」と引き下げ要求をしている。