おせっかい問題もそうだが、重要なのは、障害をもつ人たちが「何に困るのか」を知ることだ。ありがたいことに、『バリバラ』という番組も、本書も、そうした障害者の本音がぎっしり詰まっている。そこには思わず笑ってしまうような失敗談があったり、障害を逆手に取った高度な恋愛の駆け引きがあったりで、『24時間テレビ』が生産しかねない“障害者=かわいそうな人”という思考を見事に砕いてみせる。
『24時間テレビ』を偽善番組だと批判するのは容易い。ないよりはあったほうがいい、というのが筆者の考えだが、『バリバラ』は、障害者に不寛容な社会を“バラエティ”として突きつけてくる。だから健常者は、「自分たちの何が変なのか」を気負わず自覚することができる。心のバリアフリー化とは何か──『バリバラ』はきっと、その意味を教えてくれるはずだ。
(田岡 尼)
最終更新:2014.09.16 07:49