白井と白井の諮問機関であるタスクフォース、そしてこの箕部が悪辣なやり口で東京中央銀行に債権放棄を迫ってくる。それに対して、半沢は敢然と立ち向かい、いつものあの台詞を発するのだ。
「たとえ相手が政治家だろうと、関係ない。この際、きっちり片をつけてやる。――やられたら、倍返しだ」
その意味では今回は銀行を舞台にしたビジネスドラマというより、強大な政治権力を相手にした政治活劇。いつも以上に胸のすくことうけあいだろう。
だが、経済ジャーナリストの間ではこの『銀翼のイカロス』におけるJAL再建の描き方はあまりに一方的すぎるという指摘もある。
実は現実のJAL再建でも、多額の債権放棄を迫るタスクフォースの再建案を銀行団が拒否。タスクフォースは解散に追い込まれている。そして、JAL再建は企業再生支援機構に引き継がれ、稲盛和夫京セラ名誉会長がCEOに就任。それからJALはV字回復を果たして12年に再上場を果たした。一見、「債権放棄せずとも再建できる」という半沢たちの主張の正しさが証明されたかにみえるが、実際はタスクフォースの方針が必ずしも間違っていたわけでなく、むしろ銀行団が再建の足をひっぱっていたという指摘があるのだ。
そのあたりの話はぜひ、別稿で紹介したい。
(田部祥太)
最終更新:2014.09.16 07:56