「一定の条件の基に住民票の移動を確認することは法律で認められており、一般的に行われています」
NHKの担当者はこう答えたというが、自治体で個人情報を入手し不明者を追跡するなど、多くの国民は知ることはない。
それだけではない。この担当者は「住基ネットも視聴者・国民のコンセンサスが得られれば、NHKの受信料制度をより効率的に維持することにつながります。活用したいのは確かです」と言い、住民基本台帳の閲覧について関係省庁や地方公共団体に働きかける動きさえあるという。
公共放送局が国民の個人情報を自らの利益のために利用するという恐るべき発想だが、これは人権感覚の欠如以上に、権力の乱用ではないのか。実際、NHKは全国の自治体を通じて受信料の免除者情報を30年間にわたり入手し、問題になった過去さえある。
NHKでは受信料未払い者に対して強制執行を申し立てたり、契約に応じない者に民事訴訟まで起こしているが、その執念は恐るべきものだ。また、お年寄りや一人暮らしの女性世帯を訪問し「契約するまで帰らない」「契約しないと(放送法という)法律に違反することになる」と“恫喝”徴収したという報告もある。まるで悪質な訪問販売のような人権感覚と受信料徴収の実態──。
NHKがお金持ちなのは高額の受信料をわれわれ国民が支払っているからだ。税金と同様、その使い道や経営方針、そして政権との癒着を厳しくチェックする必要がある。
(伊勢崎馨)
最終更新:2014.07.30 01:45