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W杯敗退に憤るファンに告ぐ、弱さを愛する「ボトムズ」を見習え

 理由は「ボトムズ」の名が示すとおり、あまりにも弱すぎるからである。弱いから人気がなくスポンサーが付きにくい。資金がないので優秀な監督、コーチ、選手を集められない。結果、さらに弱くなり、ますます観客動員が下がるという負のスパイラルに嵌まってしまうのだ。いくら我が町のプロクラブを応援したいと思っても、そのチームが弱すぎれば、地元の誇りどころか「恥」でしかない。そうなれば地元企業もスポンサーになりにくい。さりとて、たまたま契約した無名監督や新人選手が大活躍したところで手放しに喜ぶことも出来ない。もともと安い金額で契約しているので、シーズン途中だろうが、強豪クラブにあっさりと引き抜かれてしまう。なまじ成績が上がれば給料を払えなくなり、シーズン終了後、中心選手を売り払うことも珍しくないぐらいで、無理して給料を上げようものならクラブの財政が破綻する。強くなればなったで逆にチーム存亡の危機を迎えてしまうのだ。

 ゆえに「ボトムズ」となったチームは、ほぼ持続的にリーグの底を彷徨うことになる。強くなることは許されない、負け続けることを宿命づけられたクラブ、それでも熱心に応援するコアなサポーターたち。それが「ボトムズ」というサッカー愛好家たちというわけだ。

 ともかく弱いボトムズを応援しているためか、ボトムズサポーターたちは、クラブを超えた連帯意識を持つらしく、2ちゃんねるに専用の「ボトムズを語るスレ」を立て、試合前試合後、各ボトムズサポーターが群れ集い、互いを慰め合う書き込みで溢れている。

 通常、この手のファンサイトは、試合に負けると選手や監督を罵ったり、叩いたりする書き込みで荒れるものだが、ボトムズスレはそこがまったく違う。どんなに連敗を繰り返そうが、実にほのぼのしているのだ。

「連勝は難しいね。まず、1勝しなきゃいけないから」(鳥取サポーター)。「年間1勝。2勝目あげたのは1年後だった」(北九州サポーター)。こんな自虐ネタで敗戦を笑い飛ばす。

 また、過去のボトムズ記録をきちんとまとめて「19連敗」のヴァンフォーレ甲府をレジェンド・オブ・ボトムズ、「55戦連続未勝利」という前人未踏の記録を作った北九州をグレート・オブ・ボトムズ、「154試合目初連勝到達」の草津(現群馬)をスペシャル・オブ・ボトムズと呼んで、負けのこんだクラブのサポーターを「まだまだ偉大な記録が存在しているよ」と、慰めたりする。

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