参政党HPより
先の参院選で選挙区7議席と比例代表7議席の計14議席を獲得し、一気に大躍進した参政党だが、さっそく都合の悪いメディアを排除したことで大きな問題となっている。
事の発端は、参政党が22日に開いた定例記者会見。この記者会見に参加するべく、開始前から神奈川新聞の石橋学記者が会場に着席していたが、会見直前になって党の複数のスタッフが「事前登録していないと駄目。退席を」と主張。「拒否する権限がある」「強制的に出ていって」「警備を呼んだ」などと言い、石橋記者を排除したというのだ。
当然、同日に神奈川新聞は〈知る権利をないがしろにする行為で、容認できない〉と抗議をおこなったが、今度は参政党側が主張した「事前登録していないと駄目」というのはデタラメだったことが判明。事前にメディアに届いていた会見の案内文では事前登録を求めておらず、会場内には登録していない記者もいたという。
しかも、この嘘がバレて、他のメディアもこの排除問題を報じはじめると、参政党はHP上に見解を公表。石橋記者を会見から排除した理由をころっと変更させ、今度は「石橋記者が選挙中に妨害行為に関与していたから排除した」と主張しはじめたのだ。
〈同記者は、7月20日に投開票された第27回参議院選挙の選挙期間中、「しばき隊」と呼ばれる団体と行動を共にし、本党の街頭演説で大声による誹謗中傷などの妨害行為に関与していたことが確認されています。本党としても、これまで報道倫理に違反する妨害行為への対応を行ってまいりました。〉
〈こうした経緯から、今回の会見でも混乱が生じるおそれがあると判断し、主催者として入場をお断りしました。〉
これに対して、石橋記者は「神奈川選挙区の現場では、選挙の自由妨害罪に当たるような行為は一切なかった。記者が関与した事実もなく、全くのでたらめだ」と反論(沖縄タイムス25日付)。神奈川新聞も25日に公表した声明で〈明らかな事実の誤りに基づく指摘で、到底容認できません〉と抗議している。
実際、参政党が主張している“選挙妨害の関与”などというのは明らかな言いがかりであり、神奈川新聞・石橋記者を会見から排除した本当の理由は、神奈川新聞や石橋記者が選挙期間中から、参政党のヘイトデマを積極的に批判してきたからにほかならない。
神奈川選挙区から出馬し当選した初鹿野裕樹氏は街頭演説で「外国人は生活保護で優遇されている」「外国人は生活保護を受ける権利がない」「外国人ばかりが受給している」「奨学金制度で日本人が差別されている」などという差別的なデマを垂れ流してきた。これに対して神奈川新聞は、ファクトチェックをおこない、参政党の主張がいかに間違っているかを客観的に指摘する記事を連日のように掲載。また、街頭演説で初鹿野氏から問題発言が飛び出せば、そのたびに発言の根拠や説明を求めてきた。
選挙期間中であってもファクトチェックはメディアとして当然であり、追及をおこなうことも重要な取材活動だが、参政党はこれを逆恨みし、会見で同じようにヘイトデマを指摘されるのを恐れて、神奈川新聞と石橋記者を排除しようとしたとしか考えられない。