来場者数の報じ方については、『大阪・関西万博 「失敗」の本質』(ちくま新書)の編著者で万博問題を追及してきたフリージャーナリストの松本創氏も旧Twitterにおいて、毎日と読売の数字を比較した上で〈毎日15000~22000人の差があるので、累計はどんどん開く〉〈有料入場者数=チケット売上は収支に直結する問題。MBSはどうすんの、これ〉と指摘している。
毎日放送(MBS)はもともと維新のメディア支配に抵抗してきた数少ないメディアのひとつで、万博やIR問題でも問題点をきちんと追及してきた。そんなメディアが水増し数字を積極的に拡散しているのは違和感があるが、じつはMBSは局としては、朝日放送、関西テレビと共に「一般社団法人チーム関西」に参加し、万博の機運醸成に全面協力。来場者数報道やPR番組などは、各局の上層部の意向が強く働いているのではないかといわれている。
さらに、こうしたメディアの弱腰を生み出しているもうひとつの原因が、開幕以後、強まっている維新関係者や万博応援団の批判報道への圧力だ。
たとえば、開幕初日、万博会場では大混雑と雨天により数々の混乱と問題が発生すると、メディアも当然ながらそれを取り上げた。
ところが、この程度の報道に対して、辛坊治郎氏をはじめとする「万博・維新応援団」が〈意図的ネガキャン記事〉などとマスコミ批判を展開。さらに、横山英幸・大阪市長は
〈「反万博ビジネス」「反対ありき」の政治家や一部メディアの声は必要以上に相手にしなくていい〉と、批判を封じ込めるよう発言をし、松井一郎・前大阪市長も20日、在任中から目の敵にしてきたMBSを標的にして〈MBSは万博終了まで万博ネガティヴキャンペーンを貫いてね。頑張れMBS、反万博。反IR〉という皮肉を投稿した。
こうした攻撃に煽られて、ネット上では維新支持者や万博ファンによる「万博叩きはやめろ」「悪口を言うな」という声が激増。各局とも「会期中は水を差す報道を控えたほうがいい」という空気が広がっているのだという。
しかし、いまのようなデタラメな状況を放置していたら、それこそ取り返しのつかないトラブルや大事故が発生しかねない。そのことをマスコミは認識しているのだろうか。
(編集部)
最終更新:2025.04.26 08:06