万博協会や応援団が蓋をしているのはメタンガス問題だけではない。周知のように、万博は国民の税金からすでに警備費・日本館建設費などの約1649億円(国費)、会場建設費の約2350億円(国・府市・経済界で分担)という巨額が注がれているが、運営費についてはチケットの売り上げで賄うことになっている。つまり、チケット販売が振るわず赤字ということになれば、さらに国民に負担が押し付けられる可能性がある。そして、その可能性はなくなるどころか、日増しに高まっているのだ。
それは前売り券の販売数や来場者数からも明らかだ。周知のように、前売り券の販売数は目標の1400万枚に及ばず、969万枚にとどまった。万博関係者や応援団は「前売り券が想定より下回っても、開幕後は来場者が順調、これからもっと盛り上がる」などと言っているが、これも無理矢理感が否めない。
来場者数にしても、万博協会は総来場者数2820万人を想定しており、これを達成するには1日あたり約15万人の来場が必要。しかし、蓋を開けてみると、22日までの入場者数は1日平均7万6000人で想定の半分にとどまっている。
また、この数字は想定来場者数どころか、損益分岐点も下回っている可能性がある。
来場者数と収益は必ずしもイコールにはならないが、万博協会は2024年3月に作成した「博覧会協会における運営費予算執行管理について」という資料において、運営費の原資になる入場券売上の根拠を「想定来場者数2820万人の80%(2200万人)を前提に、適切な資金計画策定のため固めに算出」していると説明していた。
また、経産省も同年12月18日の国会において「来場者想定の約80%程度の来場数であっても収支相償となるような事業計画を立てている」と答弁している。
これは、運営費が赤字にならないために、最低でも総来場者約2200万人、1日あたり約12万人が必要になるということ。現状の7万6000人ではこの最低ラインの3分の2にも満たない。
ところが、万博協会はこうした危機的な実態を隠し、見せかけだけでも盛り上げようと、数字を水増ししている。
万博開幕以降、協会は毎日、来場者数を発表しているが、その数字には会場スタッフなどの関係者の数まで含まれているのだ。たとえば、万博協会は13日の開幕から19日までの1週間の来場者数を63万9875人としているが、このうち関係者の数は11万4938人。つまり、正しい来場者数は52万4937人となる。23日に万博協会は総来場者数100万人突破を記念したセレモニーを開いたが、この100万人も実際は関係者が含まれたインチキ極まりないものだった。