大阪EXPO2025公式HPより
これまでも問題だらけだった大阪・関西万博だが、開幕した途端、批判はトーンダウン。テレビの情報番組の万博PRや“万博応援団”コメンテーターらによる「万博は大成功」「やっぱり開催してよかった」の大合唱に引きずられて、開幕直後の“待ち時間”問題以外は安全かつ好調に運営されているかのようなムードが広がっている。
だが、これは都合の悪い情報が隠蔽されているだけで、実際は万博のリスクや懸念点はまったく解決されていない。たとえば、その典型例がメタンガス検出問題だ。
周知の通り、昨年3月にトイレの建設現場でメタンガスによる爆発事故が発生。さらに、テストランが実施されていた今月6日、万博会場西側の「グリーンワールド」で最低濃度5vol%を超えるメタンガスが検出された。6日の検出場所は、電気設備が設置された地下ピットを保護するマンホール内で、引火すれば爆発が起きる危険性もあった。
ただ、その後は同様の発表や報道が一切なかったため、世間では基準値を超えるメタンガスの検出はないものだと認識されていた。
ところが、4月21日の万博協会の記者会見で、「しんぶん赤旗」の記者が「4月6日以降、基準値を超えた場所はなかったのか」と追及したところ、協会側がしれっと「基準値を超えたケースというのもあります」と認めたのである。
テストラン以降も、基準値超えメタンガスが検出されていたという事実も驚きだが、もっと呆れたのは、この間の万博協会側のデタラメな対応だ。
というのも、万博協会は昨年3月の事故を受けて〈会期中、ガス濃度測定を継続的に実施し、博覧会協会HPにて、測定値を毎日お知らせする〉という再発防止策を発表。さらに、テストランでの検出後には、吉村洋文知事と協会は、測定頻度を1日1回から3回に増やすことで強化し、その結果を毎日、公表すると述べていた。
にもかかわらず、この間、測定値が公表された形跡がないのだ。万博の公式HPをみても毎日、〈ガス安全確認状況/安全にご来場いただけます〉と表示されているだけだった(しかも、この情報にアクセスするには、HP上の「気象・安全情報」というPDFファイルをわざわざ開かなければわからない)。
ガス濃度を公表するなどの費用としてあらたに4億円が投じられていたにもかかわらず、吉村知事や万博協会は約束した「測定値を毎日公表する」を反故にしていたのである。
それでも、基準値を一度も超えていなかったのならまだ許せるが、前述のように、実際は基準値オーバーのメタンガスが検出されていた。しかも、万博協会はこれを自主的に公表せず、21日の記者会見で追及を受けてはじめて認めたのである。
ちなみに、万博協会はこの問題を追及したしんぶん赤旗をそれまでずっと、記者会見や行事の取材から“排除”していたが、批判を受けて、この日の記者会見から渋々参加を認めるようになったばかりだった。
こうした経緯を見ても、万博協会が都合の悪いメタンガス問題を意図的に隠蔽しようとしていたのは明らかだろう。