ともかく、裏金非公認候補に対する2000万円支給の事実は、有権者を欺く重大問題であり、自民党の腐敗ぶりを象徴するものだ。
しかも、気になるのが、裏金議員の選挙情勢だ。非公認の無所属である裏金候補のなかでも悪質性がとりわけ高い安倍派幹部が、各社の情勢調査で優勢が伝えられている。
その筆頭が、安倍派5人衆のひとりだった西村康稔氏(兵庫9区)だ。自民党からは非公認となったが公明党から推薦を受けており、情勢調査でも「圧倒」「優位」「優勢」などと伝えられている。
また、同じく安倍派5人衆のひとりだった下村博文氏(東京11区)も、毎日や朝日は立憲民主党の阿久津幸彦氏と「横一線」「接戦」としながらも、下村氏の名前を先に記載。つまり、下村氏のほうが優勢にあるということだ。
さらに、全選挙区のなかでももっとも注目を集めているとも言えるのが、萩生田光一氏(東京24区)だ。萩生田氏といえば裏金2728万円というトップレベルの悪質議員だが、テレビ取材に対して「非公認って大変。『やっぱり悪い人なんだ』ってダメ出しされたような印象を与えられてしまう」などとコメントするなど、被害者気取りでまるで反省の様子がみえない。その上、今回の報道によって、自民党本部から政党助成金2000万円を受け取っていると見られている。また、裏金問題だけではなく、統一教会との関係についても疑義が深まっている。
その萩生田氏、東京24区では立憲・有田芳生氏と「デッドヒート」を繰り広げているというが、毎日の情勢調査では萩生田氏が「ややリード」とし、・時事・朝日は萩生田氏の名前を先に記載。また、週刊誌では萩生田氏と創価学会幹部との関係悪化が報じられていたが、朝日の情勢分析によると、萩生田氏は〈自民支持層の8割、公明支持層の大半を固めた〉という。東京24区の公明票は4万票以上とも言われており、その影響は大きい。
裏金非公認の安倍派幹部が、またも国会に戻ってくるかもしれないという地獄──。いや、安倍派幹部でありながら公認を得た松野博一氏(千葉3区)も、日経の情勢調査では「やや優勢」と報道。離党勧告を受けたものの参院から鞍替え立候補した世耕弘成氏(和歌山2区)にいたっては、「リード」「安定」など優勢が伝えられている。
一部メディアは「自公過半数割れか」などと報じているが、裏金問題を理由に非公認としながらも、裏金非公認候補に公認候補と同様、国民の血税から2000万円も支給していた自民党、さらに裏金非公認候補に推薦を出す公明党に政権与党を任せられるはずがない。だが、もっと重要なのは、裏金問題に対して無責任な態度に終始してきた安倍派幹部をはじめとする悪質候補を落選させることだ。なぜなら、自民惨敗の責任をとって石破首相が退陣し、国会議員のみが投票する総裁選が実施される場合、裏金安倍派議員が高市早苗氏を担ぎ上げ、萩生田氏が安倍派再集結の実権を握ることが予想されるからだ。
安倍派を筆頭に、ひとりでも多くの裏金候補を落選させる。これこそが、裏金問題を反省しない自民党に突きつけるべき民意だろう。
(編集部)
最終更新:2024.10.23 11:26